雨宿りはコーヒーの香りと共に (Page 4)
「ふー……英ちゃん、全部入ったよ。わかる?ここに俺が入ってんの」
下腹部をすりすりと撫でながら、湯沢さんは言う。
それだけで信じられないくらいの快感が襲ってきた。
死んでしまいそう。
言葉にできずに頷くしかない私だったけど、湯沢さんはそうかそうかと太ももを撫でた。
「ゆっくり動くから」
「えっ、待っ……いっ、んあ!」
緩いピストンが始まり、留まっていた快楽が小さな波になり押し寄せる。
「ふあっ、あっ、やっ、あっ……ゆざっ、わさっんっ!ぅああっ!」
湯沢さんの荒い呼吸が聞こえる。
当たり前だけど普段お店で聞くことのない呼吸。
それを聞いているなんて、なんだか不思議な感じだった。
「やあ!あっ、あっ……イッ、あぁぁっ!あーっ!」
「締まりがいいなあ……英ちゃん、俺も気持ちよくて、ちょっと我慢が……」
緩かったピストンは、私の中がこなれてくると、だんだん強く打ち付けられるようになった。
ゴリゴリと中を抉られるようなピストンで、私は目の前に光が見えた。
「だめ、だめええ!おかしくっ、おかしくなるっ……あっ、あっ、あぁぁ~!」
「いいよ、おかしくなっちゃえばいい。それで忘れられるなら、いくらでも付き合うさ」
湯沢さんの甘い言葉、心地いい低い声、暴力的な快楽。
もう全部どうでもいいと、心の底から思えた。
今は湯沢さんのこの身体の熱さが、お腹を抉る凶器が愛おしい。
両手を広げてハグを求めると、湯沢さんはピストンを続けながらも応えてくれた。
私を押しつぶすようにのしかかり、抱きしめながらキスをする。
舌を絡めたキスは、唾液が口の周りを汚そうとも気持ちよかった。
「あっ……あっ……も、むり……イク……イッちゃう……」
長い時間のように感じたピストンに、私の身体はガクンガクンと揺らされ、絶頂までもうすぐだった。
すっかり湯沢さんの腰に脚を絡めた私は、もっと奥まで突いてほしくて仕方がない。
湯沢さんも激しいピストンではなく、奥を責め立てるようにグリグリと押し付けてきてくれるのでとても気持ちがよかった。
「俺もそろそろ……」
「一緒に……一緒にイキたいですっ……」
甘えるようにねだると、湯沢さんは私の頭を撫でて微笑んだ。
「それが英ちゃんの願いなら」
ああ、本当にこの人はなんていい人なんだろう。
なんでこの人が恋人じゃないんだろう。
そう思うと、身体の奥が急に切なくなって、絶頂が見えた。
「あ、イクっ……!!」
「英ちゃんっ……ぐ……うっ……!」
私の願い通り、私と湯沢さんは一緒にイッた。
一緒にイけて、とてつもない幸福を感じた。
今までしてきたエッチの中で一番気持ちよくて、しばらく身体から快楽の余韻が消えなかった。
一番幸せだったのはその後のキス。
優しくて蕩けるくらいのキスを湯沢さんから貰って、私は湯沢さんを強く抱きしめた。
それから――……。
「ねえ、湯沢さん……」
「なんだい」
後処理をして煙草を吸おうと準備をしている湯沢さんの背中にぴったりとくっつき、私は言う。
「湯沢さん、いつから私のこと好きだったの?」
煙草に火を付ける直前だった湯沢さんの動きが止まる。
返事を待つが、ちっとも返事は来ない。
「……湯沢さん?」
「……今度お店に来たらさ」
もう一度訊ねると、湯沢さんが振り向きながら言う。
「コーヒーでも飲みながら話そうよ」
湯沢さんのお誘いに、私は笑顔が隠せない。
「……はい!」
どうやら夜が明けたようで、カーテンからは太陽の光が差し込んできていた。
雨はもう、降っていない。
Fin.
毎回楽しみに拝見させていただいております。今回もとてもえっちでよだれを垂らしながらドキドキして読ませていただきました。湯沢さんの熱意に答えるように身体から心が繋がる英ちゃんがたまらなく好きです。また次の作品もひっそりと楽しみにしています。
犬好きの匿名 さん 2020年7月7日