彼氏が絶倫すぎたので一ヶ月禁欲令を出しました (Page 5)

ぐったりと投げ出された四肢。避妊具の口を縛りゴミ箱に投げ入れた篤志が、甘えるように胸に顔をうずめる。

「麻耶ぁ、ね、もっと。全然足りない」

「え、ちょっと休憩を、せめて水分補給させてください」

少しぬるくなりつつあったミネラルウォーターのボトルへと手を伸ばす。その前にひょいと篤志に取られぐっとあおると、そのまま口づけられる。口移しに水が流れ込み、飲み切れなかった水が口の端から零れる。零れた水を篤志の親指がぐっと拭う。

「水分補給完了ってことで、もうちょっと麻耶には頑張ってもらいますか」

「え、もう休憩終わり?!」

「言ったじゃん、待てないし、待たない。麻耶は全身愛されるだけでいいから。大丈夫、足腰立たなくなっても俺が付き切りでお世話するから」

ぐっと親指を立てて笑う篤志の親指を叩き折りたい衝動にかられた。でも、もう指一本動かすのも億劫で仕方ない。唯一動く口でちょっとためらったらいいと思って、こんなことを言ってみた。

「引っかき傷も噛み跡もがっつりつけてやるんだから!」

「ぜんぜんウェルカムですけど。なんなら首筋にする?情熱的な首輪なら大歓迎」

私なりの精一杯の抵抗と反抗の言葉にあっさりとそう言われる。自分は見えても別に困らないという意思表示。篤志のこういう所が好きだ。最大限の愛情表現をためらわないところ。
愛しいと同時に無性にムカついてぎりぎり襟で隠れるか隠れないかのところ噛みついてやった。

「もうちょっと甘く噛んでくれる?絶妙に痛い」

「強く噛まないとすぐ消えちゃうじゃん。篤志のわがままに付き合う代償として我慢しろ」

「ふぅん、付き合ってくれるんだ?」

思った通りくっきりと残った歯形を撫でながら、微笑む。言葉でいうのはなんだか負けた気がして、それを返事とした。篤志が嬉しそうに笑って頬を撫でる。

「麻耶、大好き。愛してる」

「私も愛してる」

篤志の大きな手が身体のラインを撫でる。一度は引いたはずの熱が待った体の中でくすぶり始める。これは本気で明日はベッド出れないな。

「禁欲も悪くないかも、麻耶が一杯甘やかしてくれるし。勢いあまって抱き潰しそうなのが怖いけれど」

「ん?!いや、ご褒美だから甘やかすのはいいけど、抱き潰されるのは困る。出来るだけ、お手柔らかにお願いします!」

そんなことを言いながら、くすくす笑ってシーツの波間に沈んでいく。深くキスを交わしながら、ぎゅっと篤志に抱きついた。

Fin.

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