お義兄ちゃんが好き

・作

医学部に通う私には医者のお義兄ちゃんがいる。小さい頃からずっと好き、今でも大好き。医者になろうとしたのもお義兄ちゃんの影響。でもある日、今まで隠していたお義兄ちゃんのことが好きという言葉をぽろっと言ってしまって。

「お義兄ちゃんが好き」

私がぽろっと出したこの言葉に、お義兄ちゃんは私が今までに見たことがない表情をしていた。

*****

私はお義兄ちゃんが好き。

お義兄ちゃんといっても、両親の連れ子同士の再婚で、昔はいつもお義兄ちゃんの後ろを付いてまわっていた。

今は私が通っている大学の付属病院で医者をしている。

私もお義兄ちゃんみたいな医者になりたくて、死に物狂いで勉強をしてお義兄ちゃんが通っていた大学に通っている。

周りからブラコンなんて言われるけど、ブラコンだろうがなんだろうがなんでもいい。ただ、お義兄ちゃんが好きなだけだから。

 でも、私が高校生になったくらいから、お義兄ちゃんは私の名前を呼んでくれていない。

友達には大人の余裕を見せて、格好いいとか、イケメンとか紳士なんて言われてるのに、私には全然そんな所を見せてくれない。

*****

 薄明かりの診察室には、柔らかな自然光が窓から差し込んでいた。私は緊張した面持ちで椅子に座っていた。私の隣には、お義兄ちゃんが立っていた。

「今日はどうしたの?」お義兄ちゃんはプロフェッショナルな態度で私に尋ねた。

私は少し息を整えてから「最近、頭痛が頻繁にしていて、特に朝起きたときにひどいの。勉強にも支障が出てきて…」

お義兄ちゃんはメモを取りながら、「頭痛はいつ頃から始まったの?他に症状はある?」と続けた。

私は具体的な時期や痛みの強さ、その他の体調の変化について詳しく説明した。

「ストレスが多い時期かもしれないね」お義兄ちゃんは慎重に言葉を選びながら答えた。

「念のためにいくつかの検査をしよう。血液検査やCTスキャンなどを予約しておくよ」

お義兄ちゃんは一度も私の顔を見てくれなかった。そんなに私が嫌いなの。

私が何かしたの。苦しいよ。

 検査の結果、異常はなかった。ただ、風邪で数日の間安静にしているように言われた。

勉強のストレスとお義兄ちゃんのことが原因だったのかもしれない。

さっきの態度だって、なんか変だった。

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