生まれる前から決まってた許嫁はインキュバスでした (Page 2)

城というほどではないが、お屋敷と言って差し支えない邸宅だった。庭園だけでうちの家の敷地の2倍はあるだろう。
白い家具で統一された部屋に通された。荷解きが終わると同時に

「お風呂に入ったら、俺の部屋においで」

と言われ浴室のドアを開けると絵本で見たような侍女の服を着た女の人(?)3人がかりで、磨きに磨かれた。
磨かれた身体は輝くようで、髪も指通りからしてべつものだ。侍女の1人がデコルテに甘い匂いのするクリームを塗って、キャミワンピースだけを渡され、下着を探してきょろきょろしていると有無を言わせず着せられて、どうぞごゆっくりと懇切丁寧に宵闇の自室の行き方まで教えて、侍女たちは去っていた。

*****

「り、りらです。入ります」

「どうぞ」

白を基調としていた私の部屋とは逆に黒を基調とした部屋だった。おそるおそる部屋へと足を踏み入れた私の手を取り、ふかふかのベッドへと座らせる。

「そのうち正式なお披露目も婚礼もするが、今日が初夜だ」

髪を掬われ、唇を寄せられる。何だろう、部屋に入ってから頭がぼーっとして、体が熱い。緊張してるから?宵闇の顔を見上げると、軽くキスをされた。しばらく短いキスを繰り返して、頬に手を当てられてキスが深くなった。薄く開いた口に遠慮がちに舌が入り込む。初めてのキスにしては濃厚すぎて、頭がくらくらする。そのままベッドに押し倒された。
ワンピースの肩紐の部分をおろすと胸元のハートの痣が淡く光っていた。

「サキュバスは快感を感じるとハートの痣が光る。気持ちいいのなら、良かった」

「私、初めてなのに。気持ちいいの、どうして…?」

デコルテを撫でられて淡く光るハートの痣をなぞる様に指が滑る。

「怖がらなくていい。デコルテに媚薬が塗ってある。皮膚から吸収されるやつだな。大丈夫だ、怖がらなくていい。安心して俺に愛されていろ」

髪をすくように撫でて、少しづつワンピースを脱がしていく。何も身に着けていない身体があらわになった。胸を下から持ち上げるように優しく揉みながら、主張を始めていた先端の周りをくるりと円を描くように撫でられる。焦らすように触れるか触れないかの距離で掠め、少し掠めたらまた離れる。

「あっ、もっとっ」

短い声と本音がこぼれた瞬間、ぱくりと口に含まれころころと舌で転がされ、想像を超える快感に喉を反らして嬌声を上げる。空いてる方は指で転がされ、あっという間に芯をもって存在を主張した。

「あ、あぁっ、気持ちいいっ!」

「お母親譲りの感度か、媚薬のせいだけってこともないよな?触れられるのは初めてでも触れたことはある感じか」

冷静に分析するようなことを言われ、それが図星で思わず目を逸らす。

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