遊び人御曹司は極貧女子に夢中!? (Page 2)

*****

「おおーお前の家ボロいな」

一ノ瀬は目をキラキラ輝かせながら理恵子が住むボロボロのアパートを見つめる。
理恵子はそんな彼をまるで、お化け屋敷を眺める少年みたいだな。でも、それにしても人の家をボロいなんて失礼だと思い深いため息をついた。
そして、鍵をガチャリと回し、

「ボロボロで大したおもてなしなんて出来ませんので、話しが終わったらすぐ帰ってくださいね」

と感情のこもらない声で言った。

*****

「それで、話しなんだが…」

理恵子の部屋で、理恵子が入れた麦茶を一気に飲み干した一ノ瀬は唐突に切り出した。

「お前、借金があるだろう。それも1000万」

理恵子は驚いて一ノ瀬を見た。借金の話は誰にもしていなかったからだ。会社に借金があるとバレるとクビになるかもしれない。友人知人から愛想を尽かされるかも。そう思い理恵子は誰にも言えずにいたのだ。

「そうですけど……でも、会社では誰にも迷惑かけていません。それに、業務も他の人よりもちゃんとこなしています。雑用もやっていますし、それに――」

「ああ、それは分かっている」

一ノ瀬の目は鋭く、射抜くような視線で理恵子を捉えた。理恵子はその視線が怖くなって慌てて視線をずらした。

「だったら別にいいじゃないですか? 何か問題でもあるんですか?」

「いや、会社の態度は問題ない」

「じゃあ、いいじゃないですか」

「よくない」

「なにが!?」

「おまえいつも、もやしばっか食ってんじゃねーか。健康上よくない。このままじゃ倒れるぞ」

「そ、それは…」

「て、ことで俺から素晴らしい提案がある」

一ノ瀬は胸を張り、目を細めてニヤリと笑った。
理恵子は一ノ瀬の顔を見てゾクリと背筋に冷たいものが走った。
この人がこんな顔をする時はいつも嫌なことを言うのだ。

「俺が理恵子の借金を肩代わりしてやる。そのかわり抱かせろ」

え?
この人はいったい何を言っているんだ?
理恵子は一ノ瀬の言っていることを頭の中で反芻させていたがそれでも意味が分からず首を傾げた。
一ノ瀬はそんな理恵子にスッと近寄り後ろからぎゅっと抱きしめた。

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