失恋した私を遊び人と噂されている先輩が優しいエッチで慰めてくれて… (Page 2)

 
 「で、なんでこんなとこに…」
 「なんでと言いつつ着いて来てくれたけどね?」
 
 脱力する私と笑う先輩は、ホテルの客室にいた。
 
 初めはホテルのバーに連れて行ってくれるなんて、さすが遊び人は違うななんて思っていたら、そんな呑気な話ではなかった。
 
 「どこか飲食店に入ってもよかったんだけど、泣きたい気分かなって」
 「…」
 
 それはその通り。想いを伝えることもできなかった恋は、悲しいというより悔しくて、でも泣いたら余計負けな気がして。無意識に眉間に皺が寄る。
 
 ベッドの縁に腰掛けた先輩が、脇に立ち尽くして黙りを決め込む私を見上げる。
 
 「今日髪巻いてるんだ。可愛いね」
 
 居酒屋で私に同じ言葉を言った柳川のことを思い出す。ぎゅっと心臓が引き絞られるような感覚があって、私はそれを振り払うように先輩の言葉を茶化す。
 
 「さすが遊び人はそういうところ抜かりないですね」
 「手厳しいな、本心なのに」
 
 先輩は困ったように笑ってから、私の本心を射抜くような目をした。
 
 「いつもは綺麗な髪をストレートにしてる女の子が、こうやってふわふわに巻くのはなんで?」
 
 爪が短く切られた長い指に、私の髪の1カールが絡め取られる。
 
 「願掛けかな?仕事が上手くいきますようにとか、」
 
 そんな気持ちなんかないくせに、先輩は私の髪を愛おしそうに弄ぶ。
 
 「好きな人に振り向いてもらえますように、とか?」
 
 なんでわかってしまうんだろう。
 
 先輩のその言葉で無意識にせき止めていた涙のダムはいとも簡単に崩壊した。
 

*****

 
 先輩の膝の上で温かい腕に抱き締められる。大きな手に頭を撫でられると心地よさに安心してしまう。そこが捕食者の膝の上であることも忘れて。
 
 「落ち着いた?」
 「…はい」
 
 私が一しきり泣いたせいで先輩のYシャツは胸の辺りが濡れている。
 
 「クリーニング代出しますね」
 「いいよ、そんなの」
 「でも」
 
 引かない態度の私を見て、先輩はまた困ったように笑った。
 
 「もらうなら他のがいいな」
 「例えば?」
 
 先輩の手が私の顎を掴む。親指が唇をなぞっていく。その意味がわからないほど子供じゃない。大人にはこういう夜があったっていい。
 

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