きっかけは花粉症?!意中の彼と両想いラブラブエッチ (Page 2)

 
 陽太の家には他の同期と何度かお邪魔したことがあって、来るのは初めてじゃなかった。ちょっとした拍子で二人きりになることもあった。でも、明確な目的を持って二人きりになるのは初めてで、鍵を開ける無骨な手を見ているだけでそわそわして落ち着かなかった。
 
 勝手知ったるというやつで、短い廊下を歩き部屋のドアを開ける。今まで気にしたことなんてなかったのに、陽太が玄関の鍵を閉める音がやけに大きく聞こえた。
 
 グレーの二人がけソファーの背後にある、木製のスライドドアの向こうが寝室。このドアは境界線だ。越えたらもうただの友達には戻れない。ドアを見つめて立ちつくす私の片手を陽太が後ろから掴んだ。
 
 「勢いでとか流されてとかそんなんじゃなくて、俺、ずっと好きだから、咲のこと」
 
 触れた手が少し震えているような気がして愛おしくなる。そっちから試してみたい、なんて言ったクセに緊張してる?
 
 「気付いてたと思うけど私も陽太のこと好きだよ」
 「…自惚れとか勘違いの可能性もあるかなって」
 
 陽太は私よりも緊張している風で、可愛いなと思ったらちょっと落ち着いてきた。普段はきはきと快活に話す陽太の歯切れの悪い様子も珍しくて、笑いながら少し意地悪を言ってみる。
 
 「私のことそんな思わせぶりな女だと思ってる?」
 「そういうんじゃないけど…」
 
 口ごもる陽太をとにかく抱き締めたくなって、掴まれていた手を解いて振り返ると、私が先に抱き締められた。
 
 「すげーかっこ悪い顔してると思うからあんま見ないで」
 
 顔はともかく、ぴたりと合わせられた胸は随分速く脈打っていて、やっぱり緊張しているのは隠し切れていない。
 
 「心臓うるさくて笑っちゃう」
 「咲のでしょ」
 「陽太のだよ」
 「もういいから、目瞑って」
 
 笑い合って、目を瞑り顔を上げた私の唇へ優しいキスが落とされる。初めて知る温度からときめきと幸せを感じた。
 

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