無口な無藤君が喋る時 (Page 3)
「じゃあさ、オレを白崎さんだと思って惚気てみてよ」
また耳元に無藤君の声と息がかかり、ぞわぞわして思わず身体を丸めてしまう。
これ、答えないと気持ちよくしてもらえないやつだろうな。
身体の中に甘ったるい刺激が溜まり始めて放出できないもどかしさに、私は無藤君の言うことに従う。
「む、無藤君と、私は……」
「うん」
「けっこう、家でイチャイチャ、して……あっ……」
「うん」
「無藤君……エッチの時、すごくおしゃべりで……ん、は……あぅ……」
「おしゃべりで?」
「意地悪……なんだよね……」
途絶えつつも言い切った私の耳に聞こえたのは、満足げに微笑んだ無藤君の小さな声だった。
「よくできました」
そう言った無藤君は私の乳首をちょっとだけ捻り上げる。
「きゃう!あ、あっ……あ……」
「すごいもじもじしちゃってるね。もう濡れてるかな?」
本当、普段無口なのにどうしてエッチの時だけこんなに楽しそうに話すんだろう。
まるで違う人みたい。
「脚、広げて」
無藤君に言われたら私は犬みたいに何でも従ってしまう。
かぱ、と脚を開くと、無藤君は身体を起こしてホットパンツの中、さらに下着の下に指を入れてきた。
もうけっこう濡れてるのは自分でもわかってた。
無藤君が私のアソコの入り口をくちくちといじっている。
「聞こえる?すごい濡れてるよ。なんでこんなに濡れてるの」
「だ、だって、それはっ……あ、はっ、あ……」
「オレ、まだなんにもしてないでしょ」
なんにもしてないだなんて、嘘ばっかり。
私が胸だけでこんなに感じるようになったのも、無藤君の声を耳元で聞くだけで背中がゾクゾクするのも、全部無藤君がそうしたくせに!
「ひあ、あ!や、いきなり、やだっ……」
「濡れてるから大丈夫かなって。痛かった?」
なんの断りもなく指を二本も入れてきた無藤君は本当に楽しそうだ。
新しいおもちゃを見つけた子どもみたいに、自分の思うがままに遊んでいる。
それを許してしまう私も私なんだけど。
そんなことより私もそろそろ欲しくて欲しくてたまらなくなってきた。
無藤君にキスをせがんで、精いっぱい甘える仕草を見せる。
「むと、くん……もう、私……」
「欲しくなっちゃった?」
「……」
しっかりと言葉にされると恥ずかしくて何も言えなくなってしまう私は、頷くしかない。
「ゆかりのそういうところ、オレは好きだよ。他の女子と一緒にいても素直になると黙っちゃうもんね」
私に優しいキスを落としながら無藤君はそう言う。
え、ちょっと待って、今の初めて聞いた。
「……もしかして、無藤君が私の告白を受けてくれたのは」
「あれ、言ってなかったっけ?オレもゆかりに一目惚れだったからだよ」
キュンでした。
エッチの時の掛け合いがとてもキュンキュンして良かったです。
2人のお喋りと無口の切り替わりポイントがたまりません。
二矢 さん 2020年6月8日