私の彼は魔法使い。 (Page 2)

「ギュッてして、温めてくれる?」

「う、うん…わかった」

抱きしめてくれたけどもどこかぎこちなくて、あまり密着しているという感じがしない。距離がある。もっとくっ付きたい。そう思って、体を彼に寄せた。

「わっ、そんなにくっ付かれると…その…」

「…いいよ。お互い子供じゃないんだから、そろそろもっと深い関係になりたい」

「それは、そうだけど…」

「…私、そんなに魅力ない?」

「そんなことない!ただ、なんていうか、僕の方に問題があって…あの、その…」

問題、とは何だろう。もしかして、特殊性癖を隠してるとか?実は全身刺青だらけだとか?私の予想外の言葉を、彼はしどろもどろに発した。

「…い、今まで、女性経験が一度も無くて…俗に言う『魔法使い』ってやつなんだ」

「ええっ?!」

「女性と交際したことはあるけど、キス以上をした事がないんだ。僕が奥手過ぎて、そこから先に進めなかったんだ。君を満足させられる自信がない…。こんな歳にもなって、恥ずかしい。…幻滅しただろ」

魔法使いって、確か『30歳を超えて童貞』ってやつだよね…?まさか童貞だったとは。彼のエスコートにはそんな感じはなかったけど、交際経験自体はあるからだったらしい。乙女のようにもじもじと恥じらう彼にムラっとしてしまった。こうなってしまうと、もう止まらない。

「じゃあさ、あなたの初めてを私に捧げてくれる?私がリードしてあげるから、まずは自分が気持ちよくなれるよう頑張ってみない?」

「そんな…君に悪いよ」

「全然そんなことない。むしろ嬉しいくらい。私のために、大事にしてたんでしょ?ね?」

「別にそういうつもりじゃ…」

「いいの、それで。そういうことにしておきましょう。さぁ、気が変わらないうちに、はじめちゃいましょ」

彼の唇に触れるだけのキスをした。二、三度それを繰り返してから、今度は舌先で唇に触れた。彼は驚いたのか、唇を固く閉じてしまった。「大丈夫よ」と、ひと声かけてからもう一度舌先で触れると、今度は受け入れてくれた。こちらの動きに応える辿々しい舌遣いに、身体の芯が熱くなる。

「ぷはっ…、はぁっ、これは、すごいな…頭の中が溶けてしまいそうだ…」

「ディープキスも初めて?」

「…下手だったから、すぐにわかっただろ?」

「そんなことない。気になるなら、もっと練習する?」

再度彼の口に舌をねじ込み、何度も舌を絡め合った。息継ぎの際、熱い吐息と甘い声が溢れてはそれらを唾液と一緒に飲み込んだ。名残惜しいけど、ディープキスはこの辺にしておいて、彼のガチガチに硬くなった部分をパジャマの上からそっと撫でた。触れた途端、彼の身体が強張るのがわかった。

「…肩の力を抜いて。怖くないから、ね?」

「う、うん…」

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