プリーズラブミーテンダー (Page 5)

「…んっ、ぅん…」

「あ、起きた?スポドリ持ってきたけど飲める?」

「うん、ありがと…」

声が少し掠れるくらい喉が渇いていた。さっきまでのどの渇きなんて何も感じなかったのに。
一気にスポドリを半分くらい飲み干し、一息つく。覚悟はしていたけれど、疲れたし地味に痛い。起きてるのが辛くてばったりと倒れこむと、そっとティッシュで足元を拭かれる。

「血が出てるから。気分悪いとかめまいとか大丈夫?」

「うん、大丈夫。ちょっと疲れて動く気が起こらないだけで。なんか、雨余計激しくなってきたね」

「今日はもう動けないでしょ、泊まっていきなよ。今日家誰もいないけど、簡単なものでいいなら作れるから」

ザーザー降りの雨は今や窓を屋根を激しくたたくものに変わっていた。巽君に温かいタオルを渡されて、体を拭いた。幾分さっぱりしたけど、シャワー浴びたいな。まだ立てる気もしないけれど。

「ねぇ、私はよかったけど、巽君はどうだった?私マグロでつまんなかった?」

「どこでそういう言葉覚えてくるの。最高で溶けるかと思った。可愛い風花もいっぱい見れたし」

「そう、良かった」

良かった、心底そう思う。突き詰めていくとどうせ何もできない自分が嫌だったというか、それで飽きられたり嫌われるのがいやだったんだと思う。嫌われたりした日なんか生きて行けそうにない。ここまで丁寧に深く愛されてそんなこと思う方が失礼な気もするし。他の人が聞いたら鼻で笑われるだろう。

「なんだか次は激しくしそうで自分が怖い。風花意外にも天然で煽り上手なところあるし、天然ってところが絶妙に末恐ろしい。今後次第でなんかすごい才能が花開きそうなんだけど」

「え、わかんないよそんなこと。でも、とりあえず、もうちょっとラブミーテンダーでお願い」

「激しくはするかもだけど、それは約束するよ。少し寝ようか、おいで風花」

腕枕されながら、甘えるように巽君の胸に顔をうずめる。巽君が好きなコロンの匂いが少しした。この時間が続くことを願っている。
叶うならこの人が私の最後の男でありますように。

Fin.

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