中国俳優はベッドで激しく私を愛する (Page 4)
一人タクシーで王浩然が滞在してるホテルへと向かう。
気分は…最低最悪。
先輩や上司が一緒に行くと言ってくれたが、先方が私に会いたいとのことだったため、心配顔の2人は会社で待機することになったのだ。
事前に電話で伝えられた通りフロントに行くと、日中に会った王浩然のマネージャーがやってきた。
私はすぐさま頭を下げようとしたが、マネージャーはニコニコしていて、早く、彼が待ってるからと告げる。
もう何が何だか分からないし、きっと今はニコニコしているが、部屋に着いたとたんに怒鳴られるのだろう…そう私は覚悟していた。
エレベーターの行き先は最上階のスイートルーム。
エレベーターが停止すると、そっと私の背中が押される。
え?と思っているうちに私の体は廊下へ押し出され、振り向くとマネージャーを乗せたエレベーターは静かに締まっていた。
なにこれ…めちゃくちゃ怖いんですけど。
どういうこと?私一人で怒られろってこと??
王浩然は実は、マネージャーもビビるほどヤバい人なの?
微かに震える足でそっと目の前の扉をノックする…。
「あの…あっ、えぇっと…打扰了(失礼します)」
恐る恐るドアを開けて中に入った私は、目を見張った。
モダンでありながら凝った装飾品が置かれた部屋は、私の部屋の2倍は余裕である。
なんなら、ボールを部屋の端から端まで勢いよく投げ合うことだって出来そうだ。
部屋のあまりの豪華さに一瞬気がそれてしまったが、私は今ここに謝罪に来ているのだ。
不謹慎にもほどがあると思った私が慌てて下を向いて奥の方へと進むと、ソファにゆったりと腰掛けている人物がいた。
王浩然だ。
昼間会った時とは違って、セットされていない黒髪がさらりと目の方まで下りて、少しリラックスしたシャツとパンツになっているが、それがまたカッコイイ…。
って、いやいやいやいや私は謝罪!謝罪をしに来たの!
我に返った私はすぐさま王浩然の2メートルほど前まで行くと、深々と頭を下げた。
「深表歉意,请谅解!(深くお詫び申し上げます、なにとぞお許し下さい!)」
「等一下!你弄错了。我完全没有生气(待って!君は勘違いしているよ。私は怒っているわけではないんだ)」
「え…?怒ってない…?」
驚きすぎて、うっかり日本語のため口が出てしまった。
じゃあ…どうして私は呼ばれたの?
疑問に思って顔を上げるといつの間にか2メートルほどあったはずの距離が、わずか30㎝ほどに詰められている。
そう…王浩然が目の前に来ていたのだ。
反射的に後ろへ後ずさりしようとした私の腕を、王浩然が優しく掴む。
「我想再次见到你(また会いたかったんです)ゆきの…さん」
待って、これは夢の中の出来事?
推し様の王浩然に腕を掴まれて、名前まで呼ばれて、おまけに会いたかったって言われていますけど?
目を大きく見開いたまま固まっている私を見て、王浩然はクスクスと笑う。
それから、そっとかがんで私と目線を合わせると、一緒に慰労会しませんか?と聞いてきたのだ…。
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