中国俳優はベッドで激しく私を愛する (Page 3)
鏡に映った仕事モードの自分を見ると、一気に頭が切り替わる。
さて!今日もいつも通り…、うーん…いつもより少し気合を入れて頑張ろう!
自分の頬を軽くペチンと叩いて気合を注入した私は、玄関をドアを開けて初夏の香りを胸いっぱいに吸った。
—–さて、ここまでの記憶がほぼない。
打ち合わせを終えて、その後からプロモーションで王浩然とまるまる2日間も一緒だった…。
そして、彼とは2時間前にさよならしたばかり。それなのに…もう何年も前のことのよう…。
憧れの推し様は想像以上に破壊力抜群で、私の側にいたカメラマンの男の子でさえ感嘆のため息をついていたほど。
そんな推し様が真っ直ぐに私の目を見つめながら「初次见面,请多关照(はじめまして、よろしくお願いします)」と言ってきて、私はオウムのように同じことをそのまま返した…気がする。
って、私ったら仕事なんだから推し様なんて言ったらだめだめ。
ちゃんと名前で呼ばなきゃ…!
「はぁ~!本当に王子様みたいで素敵でしたぁぁあ~」
椅子に座って天井を見ながらくるくる回る私は、先輩や上司を前にしてようやく緊張の糸が解けていた。
「もう、雪乃さんったら!でも、本当に頑張ったわね。向こうもあなたの通訳にとても満足していたわよ」
本当ですか!?と私が先輩を見た後に上司の方を見ると、つるっとした頭を蛍光灯で光らせた上司が優しく頷く。
よかった…うまくいって本当によかった。
でも、もう夢のような時間が終わってしまったと思うと、少し気持ちが沈む。
そんな私の心情を見透かしたように、先輩が今日は私が奢るから焼肉でも行って成功をお祝いしようと言ってくれた。
優しい先輩や上司に恵まれて、私は幸せだ。
もっと実力をつけるためにも先輩から色々話を聞きたい。私が二つ返事で帰る支度を始めた…その時だった。
オフィスの電話が鳴り、上司が対応するが、その視線が慌てたように私に向けられる。
何事かと思った私は急いで電話でペコペコする上司の側に行く。
一瞬にして真っ青な顔になった上司が静かに告げる…。
王浩然が私に会いたいとのことだった…。
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