君とが初めてじゃないのだけれど (Page 4)

ハッと目が覚めると借りていたのとは別にTシャツを着ていて、七瀬の腕の中にいた。少し顔を上げると、すやすやと気持ちよさそうに眠る七瀬の顔が見える。寝顔を見るのは初めてで、まつげ長いなと思いながらじっと見つめてしまう。瞼にかかる前髪をよけると緩やかに目を開ける。

「起こしちゃった?ごめんね、前髪うっとうしそうだったから」

「いえ、体辛いとこないですか?加減がきかなくて、無理をさせましたね」

私の頭を撫でながらそういう七瀬はまだちょっと寝ぼけ気味なのか、いつもより声が甘い。頭を撫でてくれる手が優しくて、またうとうとする。今何時なんだろう、そんなことを思って窓に目を向けるともう日差しが入り込んでいる。スマホの時計が10時を指している。

「嘘、もう10時!起きないと」

「え、まだ明け方だと思ってました。美緒さんはまだ寝てていいですよ、朝ごはん作るんで。といってもこの時間ならブランチなんですけど」

「七瀬って料理するの?」

「まあ、一応は。一人暮らしなので自炊もします。そんな凝ったものはできませんけど」

知れば知るほど七瀬は意外にもハイスペックだな。とはいえ彼女がのんびりしているのもどうかと思い、まだちょっと膝に力が入らないながらよろよろと立ち上がり、洗面所で口をゆすぎ顔を洗う。寝心地良すぎてもうちょっとまた寝るとこだった。

「寝心地良すぎて少し寝すぎましたね。目覚ましかけなくても大体7時には目が覚めるんですけど、そんなに寝過ごしてるなんてびっくりしました」

また新情報を得てしまった。そうなのか。私はというと目覚ましかけて、ぎりぎり7時に起きられるか起きられないかだ。スマホのアラームと目覚まし時計の二重仕様で、目覚まし時計は普通の時計より5分ほど早く設定している。

「あ、おはよう、七瀬」

「おはようございます、美緒さん」

火も包丁を使ってないのを見て、そばによりキスをおねだりする。甘えん坊ですねとか言いながらキスをしてくれた。

Fin.

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