ある日の太陽に焦がれて (Page 2)
「へー、ばあちゃんちの整理。一人じゃ大変じゃない?手伝おっか?」
確かに一人ではどこから手を付けていいかもわからなかったからきちんとお願いしたら任せなさいと快諾された。
重い家財動かしてくれたりして、本当に助かった。一人だったら掃除だけで何日かかったことやら。持ってきてほしいといっていた着物も見つかり、丁寧に風呂敷にくるんだ。
「ちょっと休憩しようぜ。動くとやっぱあっちーなぁ」
「そうだね。電気とガスが通ってないから、水道水ぐらいしか…」
立ち上がった瞬間くらっと視界が揺れた。がくりと足元が崩れた瞬間後ろから抱き留められた。
「ごめん、立ち眩みして…」
「菫はごめんごめん言うよな昔から。貧血か?」
グラスに水道水を入れて持ってきてくれた。一気に半分ぐらい飲み干す。のどが渇いてた。
「菫、泊まり?どこ泊まるの?」
「民宿。ほら、駅前の」
「ああ、小柄なばあちゃんがやってるとこだろ。あそこは部屋に冷蔵庫ねぇからなぁ。俺から言っとくから、俺んち来る?客用の布団ならあるし、まあワンルームだけど」
ぼんやりとした頭でうなづいた。じゃあちょっと民宿行ってくると出て行ってしまった。そういうとこ変わらないなぁ。昔もせき込むとおばちゃん呼んでくると走って行ってくれたな。
*****
太陽君の家に行き、出された麦茶を飲む。ちょっと疲れてたんだろうな、長旅ですぐに動いたのがまずかったのかもしれない。
「大丈夫か?」
「おおげさだなぁ、ちょっと立ち眩みしただけだって。もう落ち着いたから大丈夫だよ」
なら、いいけどと言いながらもまだ心配そうな顔をしている。
「太陽君は昔から心配性だなぁ。でも、優しくて大好きだったよ」
やんちゃだったからそれなりに意地悪もされているけど、せき込んだりすると優しく背中をさすってくれた。いつでも怖がりな私の手を引いてくれた。
「そういうこと他の男にも言ってるの?」
「え?」
「そうだったら警戒心なさすぎ。真に受けたらとか考えた?」
両手を片手で拘束される。痛いわけではなかったけれど、なんとなく嫌で身じろぎする。それでも、拘束は緩まなかった。至近距離で太陽君と目が合った。
「もっと抵抗しないと、本当に襲うよ」
「拘束されるのは嫌だけど、太陽君とそういうことするのは嫌じゃない…」
言ったあと顔に熱が集中する。頭を抱えてすこしうなっていた太陽君が怒ったように私の唇に噛みついた。
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