奥手な彼氏は嫉妬で狂う
恵那(えな)は大学の飲み会で潰れてしまった女友達を介抱するためにラブホに連れていくも、一緒に寝てしまった。朝スマホを確認すると、彼氏であるゆきくんから大量の連絡が入っていた。急いで家まで帰ったら、いるはずがない彼がそこにいて…!?
「ねえ、昨日どこにいたの?」
「っ!?」
家に帰ると、開いているはずのない鍵が開いていて、いるはずのない彼がいた。
「ゆきくん…?」
朝の自然光がさして明るいダイニングに反して、机に突っ伏しているゆきくんと、散乱する缶チューハイの缶。
普段真面目で、飲み会にすらほとんど参加しないゆきくんのあまりの様子に血の気が引く。
「恵那ちゃん…?」
「ゆきくん!何してるの?」
「あー…」
ゆきくんの目には濃いクマがあって、普段の優しく微笑む彼とは180度違っていた。
ゆらっと立ち上がり、スマホの画面を目の前に突きつける。
「昨日ずーーーーーっとラブホにいたよね?僕、見てたんだけど」
「っ、それは、」
「いや、聞きたくない」
そう言うなり、ゆきくんは私の口を塞いだ。
「ん、っ」
いつもと違う。
いつもは私の様子を伺うように、そっと優しく舌を絡めてくれる。壊れ物を扱うようなその感じが凄く好きなのに。
今日は無理やり舌が唇をわって入ってきて、私を抱く手も力が入っていて、痛い。
なのに
「っ、はあ」
舌が抜かれ、つうっと糸を引く。
怖くて身体がブルブルと震えてしまっているのに、この後を期待してしまっている。
「そんなに気持ちよかった?とろんとした顔してるけど」
「ん…」
唇をなぞられる。
「まあ、お疲れのところ悪いけど、たっぷりお仕置してあげる。恵那ちゃん今日休みでしょ?」
「あ、やだ…」
ゆきくんの目が完全に捕食者のソレになっている。
「やだって何」
「あの、シャワー、浴びたい…」
「駄目。どうせ男とヤった後にシャワーぐらい浴びてるんでしょ」
「シてないってば」
「だったら今からシても問題ないよね?」
ゆきくんは聞く耳を持ってくれない。
「昨日全然電話にも出てくれなかったし、位置情報調べたらホテルにいるし、僕がどれだけ不安になったか分かる?」
そういいながら私を壁際に追い詰める。
「僕、恵那ちゃんがいないと生きていけないの。浮気したって簡単には逃がしてあげない」
恐怖のあまり目をつぶると、プチン、プチンとブラウスのボタンが外れる音がする。
「恵那ちゃんがちゃんと僕のものだって、たっぷり教えこまないとね」
声は愉しげなのに、目はとことん笑っていない。
「恵那ちゃん、大好きだよ」
「っ!?」
不意に耳元で囁かれ、こんな時なのに耳が熱くなる。
「あ、真っ赤になった。まだ僕のこと好きでいてくれてるの?嬉しい」
「だ、だってそんなこと…」
今まで言ってくれなかった。
ゆきくんと付き合って半年と少し。
なのに付き合った時以来、好きだよすら聞いたことがない。
まあ、そこが奥手なゆきくんの良いところだけど…。
「なるほど、僕がどれだけ恵那ちゃんのこと愛してるか伝わってなかったんだ」
「えっ…」
怒っているかと思ったらとんでもなく甘い言葉を浴びせられ、頭がショートしそうになる。
「今日はいっぱい教えてあげるね、ほらおいで」
選択権なんてないまま、私はそのままベッドに押し倒された。
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