イケボな隣人を推すのはアリですか? (Page 6)
「飲める?」
フタを開けたミネラルウォーターのペットボトルを目の前にかざされる。そのペットボトルを受け取り一気に半分ぐらい飲み干した。ひどくのどが渇いていたことにその時気づいた。ふうっと息を吐く。
「優しいね」
「変なこと言うね。さっきまで意地悪なことも恥ずかしいことも言わせたりしたのに」
「そうだね、うん。でも、全部本心だし?思ってもいないことがそう易々と口からでないし…」
言ってから割とかなり恥ずかしいことを言わされたことを思い出した。意識がもうろうとしつつあったからはっきり覚えているわけではないけど。そろそろと昴さんを見上げる。ふぅんとか言いながらこちらをじっと見ている。
「咲月さんは俺の声大好きだよね。俺になんか言われるたび感じてたし、あんまりにも可愛いのに推しに言われんの想像してんのかなとか思ったらムカついて、ちょっといやかなりSっぽいこと言ってみたりしたけど。やっぱり声だけが好き?」
「分かんない。でも、声は好きだよ。顔も割と好き。今はそれでいいじゃない。そのうち勝手に増えるだろうし」
いろんな話も飲みながらしたけど、どこまでが酔っぱらいの戯言でどこまでが本気かわからないし。人となりがそれなり以上に理解できるほどの付き合いがあるわけでもないし。むしろきちんと話したのなんて今日が初めてでは?
「俺は声も顔も体も、やらしいとこも好きだけどね」
「なんでそういうこと言うのっ、思い出した。二回もいった、二回も!」
「誉め言葉だよ、色っぽくて最高ってこと」
「もうっ!」
そう怒らないでと笑いながら指を絡ませるように手を握られる。
「順番が逆になっちゃったけど、俺とお付き合いしてくれませんか?もっと咲月さんといろんな事していろんなところ行きたい。今以上にもっと咲月さんのこと好きになりたい」
「喜んで。私も昴さんのこともっと好きになりたい」
抱きすくめられキスをしながらベッドに倒れこむ。昴さんが嬉しそうに笑うから私もつられて笑顔になる。可愛い人だ。胸の内に愛おしさがこみ上げる。
「推しよりいっぱい好きだっていうから」
「それじゃあ、昴さんに推し変だね。目いっぱい推すから」
くすくす笑い合ってまた私たちは行為にのめりこんでいった。
Fin.
レビューを書く