夫がお誘いを何度も断るのは〇〇顔が見たかったから (Page 2)
太一が横になった後に、ドキドキしながらパジャマを脱いだ。
(心臓が…耳にあるみたい)
意を決して、紗奈は口を開く。
「太一…あの…」
ベッド脇の間接照明だけの薄暗い部屋で、太一が紗奈の方を向いた事をしっかりと紗奈は確認した。
「紗、奈…?え…どうしたの?」
戸惑う太一の顔を見て、紗奈はどうしようもなく不安になってしまった。
それは、太一の顔が興奮に染まらなかったから。
ビックリはしても、すぐに興奮の色が見えてくれるだろうと思っていた紗奈は、もうどうしようもなくなってしまった。
「…っ、っ…」
数秒の沈黙の後、気付くと顎に涙が伝っていて、嗚咽まで漏れてしまう。
「太一、はっ…どうして、抱いて…くれないの?」
まだ戸惑い顔の太一。
「私、魅力、なくなった?もう、女として、見られなくな、ったの?」
一言発したら、止まらなくなった紗奈。
「私、は、こんなにっ、太一が好き、なのにぃっ!…抱いてもらえ、ないとっ、不安っ」
涙で視界が歪む中、太一を見ると微笑んで…というか意地悪く口角が上がっているように見えた。
「た、いちっ…?」
「ははっ、ごめん…不安にさせたね。でも…やっぱりそうだった」
太一はベッドから出て、私を抱き寄せてくれた。
紗奈は少し安心はするけれど、あの笑みの意味がわからない。
今抱きしめられながら言われた言葉も、声が喜びを帯びている。
それに…
「太一…、えっと…お腹に…」
「ははっ、分かるよね紗奈に当たってるし。ごめんな泣かせて…でも、俺、すごいサドみたいだ」
紗奈のお腹に太一の強欲がビクビクと押し当てられる。
混乱する紗奈に太一が続ける。
「俺…紗奈を泣かせたかったんだ」
「…え!?」
「んー…正確に言うと、泣き顔が見たかったんだ。だから、何もしてないのにこんなにビクビクしてるだろ?」
紗奈と顔を合わせる太一の目には、渦巻く欲の色が見えた。
《やばいな…こんなに紗奈の泣き顔が腰にクるなんて…ここまでだとは思ってなかった。優しくできるかな…乱暴に暴いてもっと泣かせたい》
「流石に、棒力とか暴言とかは無理だから、どうしたら泣かせられるか…結構考えて…思いついたのがレスになってみることだったんだ」
予想だにしない太一の答えに、紗奈は面食らう。
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