キューピッドは赤いパンティ
明日、彼氏と会うのにお風呂工事?!工事に来た人は、推しに似てる大家さんの息子さん。この人とにかく、ぶっきらぼう。しかも床に落ちてる赤いオープンクロッチのパンティを見られた…。「これ、履いてくれませんか?」洗面所でフラつくほど気持ちいいキスされ、その夜、大家さんがお風呂を貸してくれて…だめです!入って来ないでください…。
仕事帰りに、近所の大家さんの家に行った。今どき、家賃が手渡しだから。
「ごめんください」
「どちら様っすか?」
目元が推しに似ている、若い男性が出てきた。
「…そこの、アパートをお借りしてる遠藤と申します。お家賃、持って来たんですけど…」
何もいわず、奥へ戻った。
あんな似てる男性、初めて見た…ドキドキするなぁ。
でも、誰だろう?5年住んでて初めて見た。
「ごめんなさいね、ぶっきらぼうなのが出て来たでしょ?」
「いえいえ。いつもありがとうございます」
「こちらこそ、いつもお野菜ありがとうね。今晩、あの子ペロッと食べたのよ」
「息子さん…」
「そうそう、美里ちゃん!お風呂場シャワー付けるから」
相変わらず、被せてくる…待って待って、シャワー?
「うわー!嬉しい、ありがとうございます」
「でもね、工事、明日なの。急で、ごめんなさいね」
困ったなぁ、あさって誠一とデートなのに…。近所の銭湯も潰れちゃったもんなぁ。
「うちの使って。時間いってくれれば、湯船溜めとくから」
「そんな悪いです(使わせてください!)」
「お願い。こっちが悪いんだから」
よかったぁ…。でも、長風呂できないなぁ。
*****
朝、課長から連絡があり、リモート会議になった。
「その案件なんですが、交渉が長引き…はい!すいません、ちょっと失礼します」
ピンポン、ピンポン、ピンポン…。
旧式のチャイムが連打されている。宅配頼んでないけど…お母さんからの荷物かな?
「工事に来たんすけど」
ドアを開けると、昨日の男性が立っている。
「…よろしくお願いします」
ほんと、推しに似てるなぁ。
特に目。
クッキリした二重で、目尻が垂れているとこなんかソックリだなぁ。いわれないのかな?
「こち…」
「場所なら、分かってる」
靴、履いたまま入られて、大家さんからいわれたことを思い出した。
「床が汚れるから、この新聞紙敷いて」
新聞紙は洗面所に束ねたまま置いてある。夜明けに雨降ったから、床に泥が…。
「これ。邪魔なんで、どけてくれませんか?」
「あ!はい!!!」
下着、見られた!干していたの忘れてた!
ハンガーを折り畳んで、見えないように抱えた。
「会議中なんで、何かあったら呼んでください…」
押し入れはパソコンの後ろだから、会社の人に下着を見られる。
ソファは私が座ってるし、布団だからベッドはない。
カメラに映らないようにソファに置いて、上に座った。
お尻に、下着を挟んでいるピンチが当たって痛い。
ガガガガガガガッ、と大きな音が響いてきた。パソコンのからブーイングが飛ぶ。
私が悪い。課長に報告するの忘れてた。
「今日中に資料まとめて、メールで送ります」
早口でまくし立てて、強引に会議をログアウトし、風呂場に向かった。
”推し”似の人が、私を呼んでいる。
「はい!なんでしょ…」
「これ」
洗面所の床に落ちている、赤いオープンクロッチのパンティを指さしている。
黙って拾い、スカートのポケットに入れた。
いちばん恥ずかしいやつ落としてたとか、ないわ…。
「それハンガーに干してあったんすけど…」
「なんで、ここに落ち…」
「俺が取って、落としたんす」
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