初恋の幼馴染からの告白。両思いの夜は甘くとろけて (Page 2)
「この部屋ほんといいよな〜。俺も住みたい」
優弥は気持ちよさそうにほろ酔いでソファの背もたれに身を預けながら部屋を眺める。
私は優弥の斜め前、床に座ってチーズを割いていた。
「大学卒業するタイミングで出なきゃいけないけどね。今家探してるんだ」
「まじ?」
「おじさんとは学生の間だけっていう約束で貸してもらったから」
家賃もかからず、バイトは自分の生活費だけ稼げばいいので学業に専念することができた。
持つべきものは独身貴族の叔父である。
「次はどこら辺にするの?」
「うーん、まだ決めかねてる。総合職だから最初のうちはいろんなところに配属されるかもだし。大きめのシェアハウスでもいいかなって思ってるんだ。それはそれで楽しそうだし」
最近ではコワーキングスペースも備えたシェアハウスも多くある。入社してOJTが終わればほぼテレワークになることは会社から説明されていた。
ーー自宅が気持ちいい空間であることは重要よね。
「危なくない?」
私がワクワクした気持ちで話していると、思いのほか真剣な声で言われ驚く。
振り向いて優弥の顔を見ると、眉間に皺を寄せていた。
「危ないって、シェアハウスが?」
「そう」
「うーん、危なそうなところは選ぶつもりはないよ? セキュリティがしっかりした大手のところを選ぶつもりだし」
「それでも男と一緒に住むってことだろ」
「女性限定だったらいいの?」
「そしたら俺が泊まれなくなる」
最終的には優弥はブスッと顔をしかめてしまった。
いつになく心配してくれる優弥に私は嬉しくなる。
「そんなに心配ならシェアハウスは最終手段にするよ。まずは、一人暮らしでいい条件の家を探してみる」
私が笑顔でそう言うと、優弥もすぐに機嫌を直してくれた。
私はまたチーズを割くのに集中する。細く割いて食べるのが私の好みだからだ。
チーズに集中していると、後ろから優弥に髪を掬われる。
いつの間にか優弥は姿勢を変えていて、私を脚の間に入れるように座っていた。
「まだ濡れてる」
「優弥が連絡くれたのちょうどお風呂出たばっかだったんだよね。今日は風も出てるしそのままでいいかな〜って」
「風邪ひくから」
そう言うと、優弥は私が首から下げていたタオルを取って髪を拭き始めた。
手つきはとても優しくて大事にされているとわかる。
ーーモテるはずだよな〜。可愛くて格好良くて、優しいなんて。どこの王子なんだ。
なんて思っていると、髪を拭き終わったようでタオルを肩に戻される。お礼を言おうと振り向こうとしたが、そのまま手を体の前でクロスされてしまった。
優しい力で後ろから抱きしめられていることに、一瞬理解が追いつかない。
固まった私の耳元で優弥は小さく囁いた。
「俺と一緒に住もうよ」
知らない男の人のような艶っぽい声がして、私はさらに身体を固めた。
レビューを書く