出張の夜、優しいイケメン同期が豹変。強引な愛撫に溶かされて… (Page 2)
高山君の部屋は22階で、私の部屋よりも数倍広く、ベッドもクイーンサイズくらいあった。
窓から見える夜景も5階とは大違いである。
「これが!格差!」
営業トップにもなると使える経費の額が変わるのが私たちの会社で、それをモチベーションにみんな頑張っていたりする。
私が一通り部屋を見尽くす頃には、高山君は窓際のテーブルにお酒やつまみを準備してくれていた。
ーーさすができる男!
広めのソファが一つ置いてあり、高山君の隣に腰を下ろした。
私がグラスを持つのを確認すると、「では、あらためて乾杯」と高山君が白ワインを注いでくれた。
「美味しい!」
フルーティで飲みやすく、酔っているせいもあるのか、またしてもペースが早くなる。
ぼんやりとした頭では、高山君が互いの太ももが触れるほど近くに来ていることに気づけなかった。
「佐々木は、結婚とかしたくないの?」
「…けっこん?」
突然振られた「結婚」の二文字に、それまで恋バナすらも高山君としたことはなかったので理解するまで数秒かかった。
「結婚はしたいけど、その前に恋人とラブラブしたいかな〜」
「今、付き合ってる人はいないよね?」
「いない、いない。仕事が忙しくてそんな暇ないって」
私は同期ということもあってか高山君と同じチームになることが多い。高山君と同じチームということは、すなわち社内でも重要な案件になってくる。一人一人の責任は大きく、平凡な私は平日は残業ばかりだし、休日も勉強の時間にあてていた。
「高山君は結婚したいの?」
「すごい、したい」
食い気味に返事をされて、ドキッとしてしまった。
ーー結婚願望強いんだ。
「彼女いるんだ?」
「いないよ」
「そ、そうなんだ」
また食い気味に返され、私は高山君の方に顔を向けられずにグラスの中の白ワインを眺める。
ーーなんで、ガン見してくるんだろう?
高山君は結婚の話題を出してから、体をこちらに向けて、私をじーっと見ていた。
「佐々木はどんな人がタイプなの?」
「…優しい人、かな」
「俺は優しい?」
「優しいと思うよ。入社してから、ずっと優しい…」
「俺と結婚するのはどう?」
ーー私は何を聞かれてるのだろう。
高山君は普段よりも数段甘い、けれど圧を感じる声で質問をしてきた。
私は答えられず、私の太ももをゆっくりと撫でる高山君の手を振り払うこともできず、固まってしまう。
「ねえ、どう?」
耳元でする低めの声に腹の奥がきゅんっと疼く。
私は、乾いた口を潤すようにワインを一口飲んだ。
「た、高山君は、同期で。おこがましいかもしれないけど、私は友人だと思っていて…きゃっ」
”友人”の言葉に反応するように撫でていた手で太ももをぎゅっと強い力で掴まれる。
「い、痛いよ。高山君…」
ゆっくりと顔を高山君の方に向けると、いつもの優しい笑顔はなく、そこにはギラギラした目で私を見ている男がいた。
面白かった……!豹変ぶりがいい!
もちもち さん 2022年10月17日