隣に引っ越してきた好青年を怒らせてしまった私は、彼の部屋に引き込まれて、玄関で無理矢理…

・作

マンションの隣の部屋に引っ越してきた秋月君と私は、気付けばしょっちゅう交流するようになっていた。だけど私は彼氏持ちで、秋月君のことは友達にしか思えない。友達から「期待させない方がいい」と助言され、秋月君とどう接していいか分からなくなった私は、秋月君を避けるようになってしまい…

「すみません突然…。今日から隣に引っ越してきました秋月と申します。よろしくお願いします」

菓子折り持参で、爽やかな笑顔で玄関扉の前に立つ彼の第一印象は、まさに好青年と言う感じだった。

とは言え、このご時世だ。

マンションのお隣さんと交流することなんて、きっと特にないだろう。

翌朝までは、そう思っていた。

ガチャッと扉を開けた瞬間、同じタイミングで部屋から出てきた秋月君と顔を見合わせた。

「あれ?おはようございます。偶然ですね!」

そう明るく笑いかけられて、思わずこっちも表情が緩んでしまった。

「本当…、びっくりしたぁ。おはようございます」

そう言いながら玄関の鍵を締めて、自然と秋月君と一緒にエレベーターへ向かう流れになった。

「いつも朝早いんですか?」

歩きながらそう聞かれて、私は「そうですねー。授業始まるの早くて…」と、笑って返した。

「学生さん?俺も大学生だよ。隣駅の〇〇大学って分かるかなぁ…」

そう言われて私は目を丸くした。

「え、私も同じ大学」

思わずそう返すと、秋月君も驚いた顔でこっちを見て、それからパァッと明るい笑顔を見せた。

「マジ?そんな偶然あるんだ。すげー!」

そう言って笑う秋月君につられて、私も笑ってしまった。

*****

それから数週間が経った。

学部は違うけど、同い年で同じ大学に通う秋月君との交流は、自然と増えていった。

家を出る時間が重なった時は、大学まで一緒に行く流れになって、食堂で鉢合わせて一緒にランチすることも増えた。

*****

「薫さ、彼氏と別れたの?」

講義室で、友達にそんなことを聞かれてキョトンとしてしまう。

「え?別れてないよ?なんで?」

私は慌ててそう返した。

実は、私には付き会って3ヶ月程の、社会人の彼氏がいる。

「だって最近あの、秋月って人と一緒に居すぎじゃない?傍からだとカップルにしか見えないんだけど…」

そう苦笑いされて困惑してしまう。そんな風に見られてるなんて、考えもしなかった。

「そんなんじゃないって…。前も言ったけど、マンションの部屋が隣で…」

そう言う私を、友達はジトーッと見てきて、言いづらそうに口を開いた。

「なんかさぁ、変に期待させない方がいいと思うよ?秋月君、結構その…、本気な感じに見えるし…?」

そう割と真剣な口調で言われて、それから友達の言葉が頭から離れなくなってしまった。

*****

帰ってきてからも、友達に言われたことが頭から離れずにいた。

秋月君が私のことどう思ってるかは、正直分からない。

だけどもし、彼氏が職場の女の人とお隣同士で、一緒に出勤したり、ランチしてたら嫌過ぎる。

そう考えたらもう、秋月君と今みたいに関わるのはダメだよなぁ…。

そんなことを考えていると、突然ピンポーン!とチャイムが鳴って、ビクンッと肩が跳ね上がった。

公開日:

感想・レビュー

2件のレビュー

隣に引っ越してきた好青年を怒らせてしまった私は、彼の部屋に引き込まれて、玄関で無理矢理…のレビュー一覧

  • これって

    勘違いする男って居るけど
    犯されて濡れる女性心が悔しい
    その後の話が読みたいなー
    やっぱ強い男には負けるのね

    8

    真由 さん 2022年9月24日

  • その通り

    前の方のコメントにある通り
    その後の話が気になる
    作品は素晴らしいと思います
    続編を希望

    2

    ウルトラの乳 さん 2022年9月24日

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