かっこわるいのが可愛いのでめちゃくちゃになってよね (Page 2)
私は肩越しに彼の方を見る。
彼は私の肩甲骨に額を付けて俯いていた。顔が見えない。
彼は私より少しだけ年下なんだけど、年上風なんて吹かせられないくらいしっかりしていて、いつも余裕がある。
セックスの時もリードするのは彼。
今日だって、ベッドの中で一人でしていた私を見つけて、「へえ」って面白そうに笑って覆いかぶさってきたときは余裕たっぷりだったのだけれど。
「…動画見ながらひとりでするくらいなら、俺のこと、呼んでくれたらよかったのに」
悔しそうに、彼が呟いた。
彼に取り上げられて、ベッドサイドのテーブルに置かれたスマホとイヤホンを見やる。
困ったな、と思う。
たぶん本当のことを言わないと彼は納得しないし、もしかして傷ついてるかもしれないし。
…これ以上中途半端なところでお預けを食らうのも、きついし。
恥ずかしいとか何とか、言っている場合じゃないのかも。
私は覚悟して、唇を開く。
「あのねリツくん」
肩に触れていた彼の前髪が揺れる。顔を上げてくれたのだろう。
私は恥ずかしいので、彼の方は見られないから分からないけど。
「…毎回私、リツくんといると余裕がないでしょ」
たどたどしく、言葉を選びながら、顔に血が上ってくるのを感じる。
「年上なのに、年上らしいこと、いつもできないし。…セックス、してても、私ばっかり気持ちよくて。リツくんはどうなんだろうって思ってても、何かしてあげるとかできなくて。経験だってそんな無いし。気持ちよすぎてわけわかんなくなって、見苦しかったり気持ち悪かったりするところ、見せてないかなって不安になって」
背後の彼は無言のままだ。怒っているんだろうか。呆れているんだろうか。
「だからね。…だから、触られてる感覚とか、き、気持ちいいのとか、自分ですれば、すこしは慣れるかなって、…!?」
話しながら恥ずかしさで涙声になってきたところで、突然後ろから思い切り抱きしめられた。
すばらしい
sp-dreamer さん 2022年8月15日