思い出の場所でかつて好きだった人と (Page 4)
「はあっはあっ、笹原ぁっ」
「夏奈も名前呼んでよ。俺の名前言えるでしょ」
「んっ、優斗…」
中で一回り大きくなった気がして、グッと手の甲を口に押し付ける。そっとその手に手を絡めて、またキスをする。舌を強く絡める度、奥を突かれ、嬌声の欠片が優斗の唇に飲まれていく。一度は去っていった大きな波がまた私をさらいに来る。
「はあっ、はあっ、優斗っ…」
「夏奈」
名前を呼んでも呼ばれても快感が走る。
何度も絡めた舌が痺れて、ろれつが怪しくなる。その痺れさえも気持ちがイイ。
「はっ、イク」
「きてっ」
先ほどとは比べものにならない大きな快感に意識も、体の感覚も飛んだ。
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ベタベタになった体を手持ちのウェットティッシュで拭いていく。消毒用じゃなくて良かった。あれは粘膜に使用しちゃ絶対にだめだし。換気もかねてバレない程度に細く窓を開ける。
冷たい風が火照った頬を冷ましてくれる。
「なんかいつの間にか薄暗くなってるね」
「そーだな」
乱れた髪を整える。流石に母校とはいえ、物置がわりの空き教室とはいえ、まずかったかもしれない。あの時は快感材料だったものが、今になって恐怖に変わった。
「次は声もっときけて、キスマも一杯つけられたらいいな」
次があるのか。きっと何の気なしの一言だ。それでもこれからを考えてくれてることに安心する。これで終わりじゃないんだと。
「あの、相談があるんだけど」
「何?」
「二人っきりの時だけでいいから、これから名前で呼んじゃダメ?」
「いいよ、夏奈」
あの時作れなかった続きを、またここから始めよう。
Fin.
全部良かった
やっぱり、全部良かったです。
鈴木 さん 2022年7月20日