約束の夜、異形に濡らされ (Page 5)
村からコーネリアが姿を消したのがいつのころか。
もう誰も覚えてはいない。
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ある日醜い老女が道をとぼとぼ歩いていた。
年老いて役立たずになり家を追い出されたのだ。
「お嬢さん」
そう彼女に呼びかけるものがいた。
そんな風に声をかけられたのは何十年ぶりだろう。
老女は顔を上げた。
「私はこれくらい打ちひしがれて乾いたほうが美麗に見えるのよ。あなた」
そこにはこの世のものとは思えないほど美々しい男と女がいた。
「お前にはかなわないよ。コーネリア」
男は笑う。
女は老女の手を取ると言う。
「さあいらっしゃい、愛しい人。私が愛してあげる」
その熱くやわらかな手の感触。
ほとんど見えない老女の目から必要とされた喜びの涙がほとばしる。
Fin.
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