目つきの悪いアイツが大嫌い (Page 3)

ヒヤリと寒い夜道を勝生は早足で歩いていた。

「どういうことよ!じゃあ…私、今まであんたのせいで長続きしなかったの?」

「大学では知らねーよ」

「大学入ってから付き合ってた彼氏に昨日フラれたのよ!」

「…だから別れて正解だろ、そんなヘタレ」

「そんなのあんたの決めることじゃないでしょ!…何なのよ、何で余計なことすんの?!」

「じゃあ聞くけどよ」

くるっと振り返り、キツく睨みつけてきた。

「自分のこと好きだって堂々と言えない男と付き合ってどうすんだよ。どうせお前のことだから、タレ目で優しそうだからって付き合ってたんだろ?」

それは…確かに。

甘い顔のイケメン好きなのは事実だけど、何であんたがそんな悲しそうな顔、すんのよ。

「お前、それで幸せか?」

「幸せって、関係ないでしょ!あんた私の親か何か?!ふざけんな!」

「…うるっせえなぁ!三歳の頃からお前が好きなんだよクソッタレ!!」

冬の夜道に響く大声に、何もかもが止まった。今、なんて言ったのこいつ。

「…さ、さんさい?」

「そーだよ!」

「…三歳って…」

「おい、引いてんじゃねーよクソアマ!」

何もかも急すぎてただポカンとしてしまっている私の目の前に、ポケットに手を突っ込んだ勝生が近づく。

「目つき悪い俺がお前のタイプじゃねえのは知ってるよ」

切れ上がった目を伏せがちに落とし、目線は微妙に私からそれていた。

「けど、フラれてむしゃくしゃしてんなら腹いせでもなんでも付き合ってやるし、愚痴も一晩聞いてやっから。だから─」

肩に両手を置かれた。ずしりと重たく。

「抱かせろよ。今夜だけでいいから」

かがみ込み、顔を近づけてきた。

「カナ」

「…ぁ」

「いいなら口、開けろ。いやなら…」

勝生のキツい目が間近で私を射抜く。だけど耳まで真っ赤。

「口、閉じるだけでいいから」

すぐそばにある勝生の体温に釣られてか、そっと口を開いた私に勝生は唇を触れ合わせた。

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