裏垢バレして、処女卒業しちゃいました (Page 3)
指先に付いた体液を見せつけながら、おやすみなさいと言って私は配信を締めくくった。部屋に静寂が訪れて、さっきまで昂っていた熱が急激に冷めていく。
今日も、誰にも言えなかった。こんなにイヤラシイことをたくさんしている私が経験人数ゼロ人、正真正銘の処女だなんて、誰にも言えるはずがなかった。
*****
「犬飼先輩、ちょっといいですか?」
ある日の終業後、私は新入社員の大宮亮太くんに声を掛けられた。彼とは部署が同じで、先月行われた新入社員歓迎会の後、他の同僚たちと一緒に私の部屋で飲んだことがあった。
「お渡ししたいものがあって…あ、歩きながらでいいんで」
大宮くんと連れ立って駅へ向かいながら、私は彼が手にしている紙袋の中身が気になっていた。私の視線に気付いたのか、大宮くんはその袋をちょいと持ち上げた後、私に向けて差し出してきた。
「先輩、これ。度数が低くて、買いやすいお酒です」
「え~! ありがとう! そうそう、こんな感じのお酒探してて…って」
袋の中には、三種類の缶チューハイ。パッケージが可愛いらしくて、配信でも映えそう…と思った瞬間、私の背中に冷や汗が伝った。何で大宮くんは、私が欲しいものを知っているの?
「あ、あの…大宮、くん」
「ルームシューズも、それからあの下着も、俺が贈ったものですよ」
ねぇ、有名配信者の『MOE』さん。そう言って微笑む彼は、どうやら全てを知っているようだった。SNSで使っているハンドルネームは『MOE』、アカウント名は『dog_dog_moe』。そして有料配信サイトのチャンネル名は『MOEのわんわんボックス』。
「先輩があんなにえっちだなんて俺、知りませんでした」
「だ、誰にも、言わないで…」
「言わないですよ。俺、先輩のファンなので、配信続けてほしいですし」
とりあえず話を…ということで、私たちは公園のベンチへと腰を下ろした。乗り換えの便がいい電車を逃して帰宅が遅くなることなど、今はどうでもいい。
きっと大宮くんはいくつかプレゼントを贈っては、私がMOE本人であるのか確かめていたのだろう。まさかこんな身近にリスナーがいて、それもあろうことか、一番気付かれたくない職場の人間だったなんて。
「でも、単刀直入に言うと…先輩とエロいことしたいです」
「え、え…あ…」
「年下の男とか駄目ですかね? 経験豊富な先輩からしたら、もう間に合ってますって思うだろうけど」
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