まだよく知らない飲み友達の彼を好きになりかけている私 (Page 5)
ぼーっとしている私をよそに、タバコに火をつけた彼。
私は裸のまま羽毛布団に潜り込んで、うなだれた。
しばらくしたら、髪を撫でられたような気がする。
少し寝て、スッキリして起きると横で彼は寝息を立てている。
起きない彼の頬にキスをして、洗面所で顔を洗う。
「帰ろうっと」
洗面台にオイルクレンジングや化粧水のボトルがあることに気づいた。
暗い部屋で着替えて、そっと玄関を後にした。
*****
昼下がりの【田舎庵】は静かだ。ちょうど、彼と私の家の間にある。
起き抜けで、疲労感の残る体に冷たいおそばが染みてくる。
エビの天ぷらに甘いタレのかかったちょうどいい量の白いごはん。
味わいながら、彼とどう過ごしたかを思い出す。
今日の朝ふたりで汗だくだったこと。
少しだけみた動画の自分と彼が脳裏に焼き付いて離れない。
そして、もくもくと食べる。
洗面台にあった女性物のクレンジングのことも少し思い出した。
またもくもくと食べる。
「ごちそうさまでした」
お冷を飲み干し、お店を出た。
今日もこれから家に帰って、シャワーを浴びたら仕事に出かけよう。
Fin.
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