芸術は爆発だ!?
大学生の私には、気になっている人がいた。「万 優」(よろず ゆう)という芸術学部の1つ上の先輩であり、少し独特な雰囲気を放つ人だった。ある日、友人づてに優から「君の写真を撮らせてくれないか?」と相談をされる。喜んで承諾し行ってみれば…えっ、ヌードモデル!?
「万 優」という名前を知らない人は、この大学ではいなかった。
彼は芸術を専攻している学生の一人であり、そのまれに見る絵の才能がある教授の目に止まり、特待生という形で入学してきた。
私は大学3年生で、かれこれ何事もなく大学生活を送っているが、優君は1年生のころには名作と呼ばれる油絵を1枚完成させて、数百万円で買われたことから有名人となった。
顔もとても格好良くて、私自身彼のことがとても気になっていた。
だから、とても驚いた。まさか、こんな私に『モデルになってほしい』と誘いが来るなんて。
*****
「ああ、すみません、友達づてに声をかけてもらったんではじめましてですね」
約束の日に、彼のアトリエとして使われている研究室の一角を訪ねる。
彼は教授から気に入られていることもあり、大学4年生にしてまぁまぁな規模の研究室をアトリエとしてあてがわれているのだ
にこにこと微笑みながら優君は挨拶をしてくる。少し奇抜な髪色をしているが、無頓着なのかセットはあまりされていない様子だった。
「君の話は友達から聞いてて、一度写真を見せてもらってね」
にこにことしながらお茶を出して、席に座るように言う。
「えと、どうして私を?」
私はそこが一番気になっていた。顔はけして美人というほうでもないし、身長も普通くらい。
「黄金比、ですかね」
優君はにこにこと笑いながら一言いいきった。
黄金比というのは、デザインにおいて美しいとされている比率のことだ。
優君曰く、私を一目見て黄金比だ!と感じたらしい。…よくわからないけれど。
「じゃあ、さっそくなんだけどモデルの仕事をお願いしていいかな」
「はい、で、どんなポーズをすれば?」
と聞くと、彼は笑顔を崩さずに言った。
「洋服を脱いでもらっていいかな?あ、もちろん下着もね。僕は君の体に黄金比を見たんだ」
…理解が追い付かなかった。
「では早速~」
彼は慣れた手つきで、私の洋服を脱がしにかかった。理解できないほどの速度で、彼は服のボタンをはずし、下着のホックをとる。
「あ、安心してくださいね?部屋には鍵をかけてありますから」
「え、そういうことじゃないんですけど!!」
優君の顔が私に近づく。そんなかっこいい顔で近づかないでよ…。
レビューを書く