怖いオトコに濡れる夜 (Page 5)
最初からこの男は、私を捕食するような目で見ていた。居心地の悪さも背中がゾクゾクする感覚も全部、そのせい。
牙を立てようと涎を垂らして伺われていたのに多分、私も気づいていた。
気づいていて差し出してしまった。
自分を。
「許してっ、お願い、もっ…辛いの、気持ちよすぎて辛いのッ!お願いだからっ」
「だめです、もっと叫んで」
「許してっ、お願い、許してっ!!」
「もっと激しくよがって狂ってください。見ているのは私だけです」
「ああっ、あ、だめっ、だめッ、むり、おかしくなる、おかしくなっちゃうから!」
「なってください」
「ひ、ぁ、やだ、やだやだ、お願いやめてッ、壊れちゃうッ!」
「…いいですよ。壊れてください」
残酷な社長の声に、目隠しの中がブワッと一気に濡れる。
ダメ。
壊れてしまう。
これ以上されたらバラバラになって体が弾けてしまう。
激しすぎる快感に痺れきっていて、ベッドの上に引き伸ばされた手足の感覚まで薄くなっていく。
「あうッ!ぁ、あッ!!」
ああ、またイッてしまう。
イきたくない。
イきたくないのに堪えられない。
刺激されているのはクリトリスだけ。なのに目の前にまで熱い快楽が駆け上がって燃え、真っ白に弾けていく。
何度も何度も。
「大丈夫ですよ、先生」
ガク、ガク、と揺れる私の頬を優しく撫でる手。
汗で張り付いた髪を払って、降りてくる柔らかな感触。
「あ、あぅ、あぅ、ぅ…ぁ、あ」
「ズタズタになって引きちぎれたら、俺が先生をつくりなおしてあげます」
唇にも。吐息を触れ合わせたまま囁かれる。
「だから安心して壊れてください」
優しく私を諭す声にゾクっとして、それから。
「ああ、また濡れましたね。いやらしい女だ、篠原先生は」
詰(なじ)られた私はまた、雫をあふれさせしまった。
Fin.
良い
初めまして。私・某進学校で数学を担当して居ります。忙しい時期ですが元気を貰います。嬉しいです。
国立 さん 2021年9月29日