怖いオトコに濡れる夜
顧問先の社長は顔も良い好青年。何故か顧問弁護士である私を気に入って誘ってくるけど、その笑顔の裏に何かありそうで怖い。そんなことを思っていたらある時、耳元で囁かれてしまう。「俺はサディストなんです」「あなたを傷つけたい」。心の弱みにつけ込まれ、誘われたベッドの上で私を待ち受けていたのは、壊されてしまいそうなほどの快楽だった…。
カランと鳴るドアベルにドキッとする
「今いいですか?」
予想通り呼びかけてきた声に顔を背け、グラスを置いた。
「ダメです、秋山社長」
「秋山社長ではなく悟史と呼んでください、篠原先生。今はプライベートですから」
「弁護士の私と顧問先の社長が顔を合わせている時点で仕事になります」
「せっかく会えたのに仕事の話なんかしませんよ。ああ、最近髪型を変えられましたよね。とても素敵です」
チラッと視線を向けた笑顔は爽やかで明るい。
秋山社長は、どう見ても美男子だった。
イケメンよりもそっちの形容がしっくりくる。
少し重そうな二重に、作り物じみてるほど長いまつ毛のライン。薄く、形の整った口元には小さなほくろ。
一見すれば人に好かれる容姿と言動を併せ持った好人物で、しかも会社経営者。
口を開くと整いすぎた印象がまた少し、柔らかくなるのが心憎い。
だけど私はこの男が怖かった。
どこが怖いのかと聞かれてもうまく答えられないけど。
「社長と仕事以外のお話をする気はありません」
「そんなこと言わずに、今夜こそご一緒させてください」
「何度お誘いされても無駄です」
「未来のことなんてわかりませんよ。次に誘ったら先生の気が変わるかもしれない」
ほら。
どうにも食えないところが引っかかる。
自分に自信があるのだろう。
弁護士の私にもためらいなく駆け引きを仕掛けてくる上に、こうやって終業後の私が行きつけにしているカフェにまで来て、誠実そうなフリをしながら近づいてくる。
その裏に何かありそうだから正直、関わりたくなかった。
良い
初めまして。私・某進学校で数学を担当して居ります。忙しい時期ですが元気を貰います。嬉しいです。
国立 さん 2021年9月29日