クレイジーラブ (Page 2)

「先生っ…人が見て、ます。それに…」

「もう、先生じゃない。周りだって自分たちのことしか見えてないさ。松浦、お前好きなやついるのか?」

「え、あ、それは…突然聞かれても…困りますって、先生、ほ、ほらっ先生?!雰囲気に酔ってるだけじゃないですか…っ!」

変な空気にならないように身振り手振りで必死になる腕をさらに掴まれる。

素敵な先生だと学生時代噂する人もいたけれど私は、一度だって先生を異性として見たことはない。

「先生、本当にやめて…」

この手を離して…言おうとした私と先生の間に立ち塞がる背中。

「フン、案外早かったな?お前が来なけりゃ俺が”ハナちゃん”を…」

「うるさいな。勝手に名前呼ぶな、勝手に触るな」

「あ…」

くるっと私に振り返ったのは翔くんで。ぎゅっと痛いくらいに抱きしめられた。汗ばんだ背中が焦りを伝えていて、鈍いと言われる私でさえ分かる翔くんの想い。

「んぅっ…!」

首筋に回された腕で体を固定され、いきなり与えられる深い口付け。翔くんの両手はどんどん大胆になって、私の前髪をかきあげ頬を包み、角度を変え繰り返され…

(気持ちいい…、翔くんの唇)

「…くそっ」

「へ、くそって、翔くんひど…」

「違う。ここが外じゃなかったら押し倒せたなと思っただけ」

「押し…!」

…カシャ。

「ん?…あ」

ほら、と先生に差し出されたスマホには、翔くんとキスをする私と…その背景には最高に輝く夜景が。

「あー!ダメダメ!こんな可愛いハナちゃんの顔誰にも見せられない!」

「…勝手にやってろ。弟を頼むぞ、松浦」

「先生?…え、弟っ?!」

「ハイハイ、兄貴なんか見なくてよろしい」

よそ見禁止と付け加えながらぐいっと顔を自分に向かせ鼻先にキスを落とす。微笑む翔くんの瞳にはちゃんと私が映ってる。

「俺のものになって。まっ、はい以外は認めないけど」

「…はい」

「ん」

さっきまで大胆に、しかも人前でキスをしてきた翔くんと思えないくらいホッとした顔を向けられて、胸がキュンと高鳴る。

「あー、幸せすぎて何するか分かんない」

「ふふ、何それ。翔くんなら大丈夫だよ」

「…」

*****

「しょお…く、ん、っあ!」

ホテルの窓際に立たされ、翔くんは私の背後から回した腕でおっぱいを強く揉みながら、濡れた舌は私の首筋を上下になぞるように動く。

「ハナ、いい匂い」

少し掠れた声で、翔くんが初めて私を呼び捨てにした。”ハナちゃん”と呼ばれるたび、子ども扱いされてるみたいで嫌だったから。

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