記憶をなくすと…
私、綾乃は秘書として若社長の洸太の元で働いている。ある日、車の中で勧められた飲み物を口にすると意識が遠のき、目を覚ますと見知らぬ部屋。自由を奪われ、いじり倒され、快楽の渦に落ちる。このまま身体だけの関係で終わってしまうのか…
「ん~…?」
私は手首の違和感から目を覚ました。
天井のライトが眩しく、目を覆おうと手を動かそうとするがそれは叶わなかった。
両手両足は縄で括られ、ベッドに繋がれていた。
(…どこ?ここ…。何、これ…)
頭の動く範囲で周りを確認していると、ベッドの足元の方向にあるドアからガチャっと音が聞こえ、かすれる声で訴えた。
「…あの…これ取っ」
「もう起きたの?早ッ。それとも耐性があるとか?」
入ってきたのは、社長だった。
*****
私、綾乃は秘書として若社長、洸太に就いている。
前社長から秘書として働いているので就任間もない彼のサポートも兼ねて続けさせてもらっている。
フットワークも軽く取引先の方々に誘われると二つ返事でOKを出してしまうので、そこのフォローが多い。
翌日の仕事に穴を空けるわけにはいかない。
今日も2件目で切り上げてもらおうと耳打ちをした。
「そろそろお時間が…」
「ん、分かった。社長、せっかくなんですがそろそろ~」
*****
「あぁ~助かった~。あそこの社長、酒強いんだよ…あぁ~飲み過ぎたぁ」
「飲むのはいいですが、自分のペースを守ってください。明日の仕事に差し支えますよ」
取引先の社長に断りを入れ、帰宅の途に就いた。
タクシー内の彼は酔いが回り、いい気分な様子。
「綾乃さんはいつも冷静だよね~何杯付き合ってくれたの?あ、今日は水買っておいたんだ~」
「…ありがとうございます。私は3杯程度しか飲んでいませんよ」
差し出されたペットボトルのキャップを空けながら答える。
口を付けて続ける。
「明日は10時から…」
その途中で目の前に居る社長が回り始めた。まるで、強いお酒を飲んだ様な感覚。
(あ、れ?回る~)
「…綾乃さん?どうしたの?綾乃さん?」
彼の声が聞こえ、そこで私の記憶が途切れた。
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