雪国の旅、氷瀑、かまくら、初体験!幻想的な滝壺で出会った二人のエロチック・サスペンス!? (Page 3)

広い敷地がライトアップされ、20棟ほどの雪のドームが整然と並んでいる。

「ホテルの窓から見下ろしたときは大福が並んでるように見えたけど、近くで見ると意外と大きいわ。壮観、壮観」

絵美は、人出も疎らなかまくら村を歩きながら、うきうき気分で周囲を観察した。

子どもの背丈ほどの小さいものから、大人が立って入れるくらいの大きなものまである。

かまくらの中も電灯で明るくて、何棟かは中央にコタツが置いてある。

入口にベニヤ板が立て掛けられて、中が見えないものもあるが、楽しそうな話声が聞こえるから一杯やっているのだろう。

中には2棟ほど、ぺちゃんこにつぶれているものがあった。

「わ~、可哀そう~。雪の重みで崩れちゃったのかしら」

一番奥の中型のかまくらの前を通りかかると、中に特徴的なゼブラ帽の男。

「さっきは、どうも」

「あ!正樹さん」

「差し入れのワインを持ってきました。ここで待ってれば、会えるかなぁって…」

「それは、わざわざありがとうございます。寒くなかったですか?」

「いえ。かまくらの中は意外と暖かいんですよ。それにもうチビチビ飲み始めてたんで、体はポカポカして全然寒くないですよ。さぁ、中で一緒にどうぞ」

「じゃあ、ごちそうになろうかしら。おじゃまします」

絵美は、かまくらの中にかがんで入り、正樹と向かい合って座った。

物珍しくキョロキョロと見まわす。

かまくらの天井は絵美の背丈と同じくらいなので、大人の男性だとやや窮屈だろう。

一坪程度の広さの円形の床面、中央に七輪が置いてあり、網の上のイカや串焼きが、香ばしい煙を上げている。

七輪の周りには厚手の座布団のような防水クッションが置いてあり、防寒着のまま座れるようになっている。

「最初は温かい飲み物の方がいいですよね。ホット黒ビールかホットラムがありますよ」

網の上には手鍋に缶飲料が温めてある。

「へ~、珍しいですね。じゃあ、ホット黒ビールを」

正樹は慣れた手つきで手鍋から黒ビールの缶を取り出し2つのグラスに注いだ。

「人肌でちょうどいい頃合いです。お好みでシナモンやハチミツをミックスしても合いますよ」

「ありがとう。じゃあ、乾杯!」

「乾杯!」

「あ!意外と苦くなくておいしい!」

「温めすぎないのが、おいしく飲むコツです。おつまみもどうぞ」

「さっき晩ごはん食べたばかりなのに、またお腹が空いてきたわ」

「ワインは冷やしておきますよ」

バケツ型のワインクーラーの中には雪国らしく何本ものつららが立ち並んでワインボトルを冷やしている。

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