雪国の旅、氷瀑、かまくら、初体験!幻想的な滝壺で出会った二人のエロチック・サスペンス!? (Page 2)

「かまくら…村?」

「ええ。かまくらは人が入れるくらいの雪のドームのことです。それがたくさんあって中でコーヒーやお酒を飲んだりできますよ」

「わ~、楽しそう。後で行ってみますね」

そこに、絵美さ~んとタクシードライバーの声。

なかなか戻らないのを心配して呼びに来たようだ。

「あ、私、そろそろ…。タクシーを待たせてるので…。また会えるといいですね」

「引き留めてしまってすみません。では、よい旅を…」

絵美は別れを告げて歩き出した。

*****

「わ!」

「え?」

正樹の叫び声に振り向くと、ヒュンヒュンとどこからか雪玉が飛んできて、1発が正樹の背中に当たった。

「痛っ!」

小走りに逃げる正樹。

「大丈夫?」

駆け寄る絵美。

雪玉は林の中から飛んできたようだが、人影などは見えない。

「たはは…。猿かなんかのいたずらかな?」

「ケガはないですか?これ、落ちましたよ」

絵美は正樹が被っていたゼブラ柄のニット帽を拾い上げ、雪を払ってから手渡した。

「大丈夫です。心配してくれてありがとう」

「いえいえ。気を付けてくださいね」

「あとで地元産のワインでも差し入れに行きますよ」

「どうぞお気遣いなく。私も猿に備えて雪玉を持ち歩くわ」

「ははは。それがいいね」

絵美はタクシーに向かって歩きながら地面から雪をすくい上げ、おにぎりのように握ってみた。

湿った雪質で、すぐにボール状になった。

人のいない樹々に向かって投げてみる。

幹にあたって音を立てて砕ける。

懐かしい感覚。

球を投げるのは本当に久しぶりだ。

学生時代はソフトボール部で外野手だったんだ。

当時ほどの球威はないがコントロールは衰えてない。

自然に笑顔になる。なんと楽しい旅行だろう。

*****

まだ明るいうちにホテルに到着し、さっそく炭酸温泉を堪能した。

シュワシュワで気持ちいいし、お肌もつるつるになりそうだ。

国のキャンペーンは奏功しているとはいい難く、ホテル内は閑散としていて、温泉は貸し切り状態だった。

豪華なフレンチの夕食を早めにいただき、ほろ酔い気分であったが、しっかり防寒して「かまくら村」に行ってみた。

*****

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