嘘つきな最終電車 (Page 3)
「タカヒロ……もっとして」
気がついたら名前を呼んでしまっていた。
瞬きを数回した彼は、「ずるいなあ、ほんっとに」といいながら勢いよくワイシャツを脱いだ。
「もうちょっとゆっくり、時間かけてちゃんとしたいと思ってたのに。アリサさんのせいですからね」
「だって」
「後でもう一回するんで、今は許してください」
上に覆いかぶさった彼は、私の脚を大きく開かせてできるだけゆっくり腰を押し付けるようにしながら、入ってくる。
久しぶりでほんのちょっとだけ痛い。
私の顔を見て「痛くないですか?大丈夫ですか?」と言いながら抱きしめて、もう一度深いキスをしてきた。
なんでだろう。すごく気持ちいい。
「ごめんなさい。動きます」
さっきまでそんなこと言わなかったくせに、余裕がないのがちょっとかわいい。
「アリサさん、気持ちいいですか?もっと教えてください」
「もっと奥までして」
「奥のほうが好きなんですか?」
「……うん」
こんなこと後輩に知られるなんて、絶対に避けたいはずなのに。
教えてって言われると断れない。
「なんか、もうだめかもしれない、イキそうです」
「私もイキそう……あんまり見ないで」
「ちゃんと教えてくれなきゃだめです。こっち見てください」
タカヒロと目を合わせて、全部見られてしまう。
「なんか、今まで一番気持ち良いかも」
「アリサさん、今それ言うの、反則」
二人とも一緒になって快楽の底に落ちた。
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ベッドの時計を見ると、終電の時間はとっくに過ぎていた。
「終電、間に合わなかったじゃない」
「そりゃ乗せる気なんかないですもん」
しれっと後輩は言う。
「それより、明日暇ですか?」
「予定はないけど……」
「どっか行きましょうよ」
「順番おかしくない?」
「いいじゃないですかー!明日は終電までには帰しますから」
嘘つきと素直じゃないのはどっちが悪いのかな。
わからなかったら、明日も訊けばいいのかしら。
今度は私からキスをした。
Fin.
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