嘘つきな最終電車 (Page 2)

「アリサ先輩、スカート脱がせますよ」

「いちいち言わないでよ……」

私の腕を自分の首の後ろへ回して抱きつかせてから、スカートのファスナーを下ろす。

やけに音が響いた気がした。

「なんかジャケットにストッキングだけって、やらしいですね」

こんなカッコ嫌だ、見られたくない。

「ベッド行きましょっか」

「え?」

どうやって?

そのまま身体が浮いた。

「やめて、重いから!」

「全然平気でーす」

スカートは脱げかけだし、抱きついてるんだから逃げられるわけがない。

「はい、ジャケットもブラウスも、全部とっちゃいますからね」

自分で脱ぐって言いかけたけれど、できなかった。

見つめられる方が今は嫌だ。

顔見られたら気づかれる。

ちょっと期待し始めてしまったことに。

ブラウスが脱がされて、ひやりとした空気が代わりに体を包む。

意外と大きくてゴツゴツした男の人の手が、直接身体の感触を確かめるように撫でてくる。

「アリサ先輩、ちゃんと食べてます?細すぎません?」

「うるさいなあ。食べてます!」

「白くて綺麗」

いただきますとばかりに身体中にキスが撒かれる。

時々チリっとした痛みがあるのは、もしかして痕がついてるんだろうか。

「見えるとこには、つけないでよ」

「んー、なんでですか?」

「なんでって、会社」

唇が塞がれる。

「聞こえなかったからもっかい訊きますね。なんでですか?」

そのたびに、生意気な後輩は私の答えを摘み取る。

答えさせる気なんかないんじゃない。

だんだん深くなるキスになんにも考えられなくなってくる。

なんでだめなんだっけ。

「気持ちいいですか、アリサ先輩」

「多分」

「んー、素直じゃないなあ。だから好きなんですけど」

「素直な方がいいんじゃないの?」

「素直じゃない人が我慢できなくなるとこが好きなんですよ」

少しだけ唇の端を上げてこちらを見た顔にドキリとした。

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