後輩年下わんこは甘い香りに誘われて発情しちゃいました!
会社では厳しい主任として通っている仕事一筋の綾香には秘かな楽しみがある。それは後輩の夏也くんを眺めること。わんこのような動きをする彼に毎日癒されていたが、2人で残った会社で可愛い彼が暴走してしまう…!夢のような出来事に恥ずかしいはずなのに身体は反応してしまい、甘い香りに包まれながら満たされる。
「ここ間違ってるから早めに修正してくれる?」
「あっ、はい。すみません…」
えぇ…、そこまでしゅんとしなくてもいいんだけどなぁ。
別にめちゃくちゃに怒ったわけじゃないのに…。
私の名前は木村彩香。ボディケア用品を販売する会社のマーケティング部の主任をしている。
負けん気の強い私は新卒で入社してから、部内でトップにのし上がるために必死に仕事をこなしてきた。
嫌な先輩にはあえて自分からグイグイ質問したり、課長が説教を延々とする飲み会は皆勤賞。
そして、ついに念願の主任の座を手に入れた。
でも私は単純に主任の席が欲しかったわけでなく、純粋にマーケティングの仕事が好きなだけ。
会社の商品をもっと多くの人に知ってもらいたい、手に取ってもらいたいと思っている。
私が入社した時の当時のマーケティング部主任はやる気のないおじさんで、どうしてこの会社で働いているのかと謎に思っていた。
素敵な商品がいっぱいあるのにもったいない。
元々、自社製品のファンだった私は自分がマーケティング部の主任になったことで、今までより多くの人に使ってもらおうと思っていた。
だから今は自分の持ってる時間全てを、自社の製品につぎ込めることが出来て充実感で満たされている。
でも、ある日の昼休みにとんでもない噂話を耳にしてしまった…。
「木村主任って厳しすぎじゃない?さっき麻実ちゃんが早く修正しろって怒られてたんだけど、すっごい怖かった~」
「わかる。俺はあんな女絶対に抱けないわ」
「ってゆうか、ずっと彼氏いないらしいよ?仕事一筋みたいだしね。あーぁ、好きな人すらいない人生なんて私には無理だなぁ」
給湯室から聞こえる私の話。
ムカつくけれど図星だ…。
実際、入社してから仕事が忙しくて当時付き合っていた彼氏にフラれていた。
私は給湯室から離れて、会社の近くにあるコンビニへ飲み物を買いに行く。
さっさと戻って打ち合わせの準備しなくちゃ…。でも、今は戻りたくないかも…。
ため息をつきながらレジで支払いをしようとしてハッとする。
財布を忘れてしまっていた!電子マネーで支払おうと思ったのにケータイまで忘れている。
私らしくない凡ミスだ。
店員さんに謝ってキャンセルしようとした、その時…!
買おうとした飲み物の隣に缶コーヒーが置かれた。
「すみません、支払い一緒にお願いします」
えっ?と思った私は驚いて横を見る。
「夏也くん…!?あっ、悪いから大丈夫だよ!」
私の隣にいたのは、去年マーケティング部に入社してきた後輩の夏也くんだった。
財布を忘れた上に後輩に支払ってもらうなんて恥ずかしすぎる。
「いいですって、はい!どうぞ!」
戸惑う私に飲み物を笑顔で手渡してくれる。
「ありがとう…、後でちゃんとお金返すね」
「ははっ、いつもお世話になってるので、これはお礼ってことでどうですか?」
目をキラキラさせながらこっちを見る姿は、尻尾を嬉しそうに振るわんこそのもの。
「いっつもお世話してるもんね」
クスクス笑っていると、夏也くんが目を丸くして私を見つめていた。
何…!?心臓がドキンと鳴る。
「木村主任の笑った顔、あんまり見たことがなかったので見惚れちゃいました!可愛いですね!」
可愛い!?っていうか私、会社で笑ってない!?
褒められてパニックになる私を面白そうに見ながら笑う夏也くん…。
「そういえば、先輩っていちごミルク好きなんですか?いっつも飲んでますよね?」
いっつも…?
聞き間違いか…な?
「うん、昔から疲れると無性に飲みたくなるんだよね」
「そこも可愛いですね。…あっ!もうこんな時間だ!取引先の所へ行くんだったー!」
じゃあと言って猛ダッシュで走っていく夏也くんの背中を見ながら呆れる。
でも、そんな私の心臓はずっとバクバクしっぱなしだ。
待って、私のこと可愛いって言った!?これは夢…?
ってか何今の!?可愛いっ!可愛すぎる!慌てて走る姿も可愛い!
緩みそうになる口元を必死で押さえる。
そう…。私は夏也くんが好きでたまらないのだった。
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