雨宿りから発展した同期との仲
仕事上がりに雨に降られて雨宿り。同期の柳田が同じ軒先に雨宿りしに走ってきた!ここから近い彼の家で着替えを貸してもらうことに。なかなか顔を見ない柳田に怒ったら言い合いをしてたのに押し倒されちゃった!?ペース乱されまくりで悔しいっ!
「ぎゃーっ!やばい!ノーパソ濡れる!」
この辺はビルばっかで軒があるとこが全っ然ないんだから!
ジャケットを被りバッグが濡れないように背を丸め胸に抱えて走っていると、雨宿り出来そうな軒先が…!
「っふー…バッグの中は濡れてない。レザーでよかったぁ〜!」
仕事用のノートパソコンとスマホが濡れていないことに安心していると…
「っはー!やっと雨宿りできる!」
同じくジャケットを被って走ってきた男性。
軒先に入ってからこちらに気付いたらしい彼がジャケットを取り顔を上げた。
「あれ?新崎?」
「え、柳田?」
走ってきたのは部署は違うけど同期の柳田だった。
まだ入社して1年だけど、柳田は花形の営業部。
私は秘書課に所属している。
柳田は入社式の時から周りが一目置いている存在だった。
身長は高いし顔は整っているけど…社内では仏頂面だし。
でも仕事では入社したてから取引先に次々気に入られて、仕事を覚えるのも早い。
英語にドイツ語に中国語も話せるらしく、海外展開を掲げている我が社では余計に重宝されている。
柳田も持ち物が濡れていないか確認した様子。こちらを見た柳田が固まる。
「新崎、お前これからどうすんの?」
「んー…駅に向かいたいとこだけど、この雨だと流石にノーパソが心配だし、小雨になるまでもう少しここで待つよ」
「家遠いのか?」
「ここから6駅先が最寄りだよ」
「…なら、俺の住んでるマンションがここから走れば5分のとこにあるから上がって着替えていってくれ。…その格好でうろつくのも、ましてや家まで1人で歩かない方がいい」
そう言われて見下ろすと…ああ、そういうことか。
ワイシャツが雨で濡れて張り付いてしまっている。
ブラジャーは透けていないけど、張り付いているせいで形は分かるしキャミソールのレースは透けているし…
ここは甘えよう。すぐ帰ればいいし。
*****
マンションについてびっくり。
入社から1年しか経っていないのに住める家賃ではなさそうなのだ。
「ね…柳田こんなに高そうなとこ住めるって…そんなに営業部ってお給料高いの?」
エレベーターに乗り込んで柳田に尋ねる。
「…あー。周りには言うなよ?営業成績はまだまだ上に行けないが、同期たちよりかは成績いいし、3ヶ国語話せるからって任せられる仕事があるから、その分上乗せされてるんだ。周りには内緒な」
…いくらかは聞かなかった。
部屋に入り、私は玄関先に留まった。だって彼女とかいたら悪いし…
「おい、何やってんだよ上がれ。この雨で電車止まってるらしいし暫くは帰れないぞ」
「えっ…いやでも、彼女さんに悪いでしょ!着替えだけ借りたら帰る!」
「彼女なんていねーよ。着替えだけ借りたって、今出たらまたびしょ濡れで意味ないだろうがよ」
た、確かに…てか彼女いないのか。
じーっと柳田を見ていると…
「新崎、早く風呂入って体あっためろ。ほらほら早く」
なんだか顔が赤いしさっきから目を合わせない。
私も恥ずかしいし寒いしでお風呂を借りた。
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