死んだと思ったら異世界で王子に溺愛されました。
26歳の千鳥は結婚の話までしていた彼氏にフラれ、職場もいづらくなり辞めてしまい失意のどん底。歩道橋から飛び降り、目を覚ましたら知らない部屋のベッド。金髪碧眼の王子は言う『君が僕の花嫁だよ』ってどういう事?え、会ったその日に世継ぎですか?!
入社したばっかりの頃から付き合っていた彼氏と結婚の話までして、両親にも紹介した相手がいた。26歳、周りでも結婚する子が出てきて焦っているところもあった。ところが二週間前
「浮気相手に子供が出来た。その子と結婚するから別れてくれ」
と言われた。ドラマかマンガのような出来事が本当に起こるんだと思った。もう悲しみ、悔しさ、怒りが頭の中で合わさった結果、沸いたのはムカつきだった。
「別れてやるわよ!このクズ男!」
別れ話が出たファミレスで熱いコーヒーぶっかけてやった。
結婚の報告で私が捨てられたことが判明し、皆の労りやら陰口やら噂が胸をえぐり、いづらくなって辞表をだした。職もない、彼氏もいない、この世界に私の居場所なんてないのかな…。
歩道橋から車道をのぞき込むように身を乗り出す。いっか、もう、疲れたし。私の人生この辺でもういっか。車道に飛び込むように落ちて行った。
*****
「ん、んぅ…?」
目に映ったのは白いシーツ。死にそこなったのか私。ってことはここは病院?異様にベッド柔らかい…
「おや、目が覚めたのかい?」
「は?え?ど、どちら様で…」
金髪碧眼のとんでもない美形の人が私の顔をのぞき込んでいた。
「初めまして、僕はイグニア公国の第一王子ミハイル・イグニア。ミルと気軽に呼んで、僕の花嫁」
「は、花嫁?」
イグニア公国とかいう国家ないよね?なに、夢?夢かなコレ。待ってイグニア公国第一王子って王位継承権第一位の皇太子ってこと?軽くパニックをおこした。
「神殿の巫女様の預言では、空から降って来た異世界の女性が僕の花嫁だって話だったけど。本当にそんな事があるなんてね」
あははなどと気楽に笑っているが、この人今さらりと異世界って言ったよ。ここ、地球じゃないの…?いや、地球だけどパラレルワールドみたいな?
「そ、そんな、私死んだと思ってたのに?」
「何で?こんなに綺麗で可愛いのに?この艶やかな黒髪も聡明そうな瞳もとっても魅力的なのに?」
綺麗だとか可愛いだとか魅力的だとか言われて、反射で顔が赤くなるのが分かった。そんな事言われたことない。ドキドキと胸が高鳴る。
「いいね、その表情すごくそそる」
ギシリッとベッドのスプリングが軋む。
「花嫁の大事な仕事ってなんだと思う?」
「…、いやパッとは思い浮かばないです」
「世継ぎを残すことだよね。きっと僕と君の子供なら素晴らしいだろうね。髪は君に似て目が僕に似てたらいいな」
私の上に馬乗りになりながら、世にも綺麗な王子は笑う。
「今から頑張ろうか、僕の花嫁」
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