積極的すぎる年下くんに困ってます!
私は半年前、勤めていた飲食店の副店長となった。しかし問題は山積みで、お店のことを考えては悩む日々が続く。そんなある日、バイトの男の子から大事な話があると言われ、辞める話だと勝手に勘違いした私は必死に止める。しかし大事な話とは私に対する告白で…?そのまま積極的すぎる彼の思うままにされてしまうのだった…。
半年前、私はずっと勤めていた飲食店で副店長に任命された。
26歳にして副店長…。
正直なところ、荷が重かったが、断ることが苦手な私は承諾してしまった。
副店長になったおかげで給料が上がったのは嬉しい。
だけどそれ以外は大変なことばかりだ。
売上の低下に、バイトが次々と辞めていくという現状…。
問題は山積みだった。
この店には私を含めて6人のスタッフしかいない。
私以外だと店長にパートさんが2人、そしてバイトが3人…。
この人数のままお店を切り盛りしていくのは厳しいだろう。
一刻も早く新しい人手を探さなくてはならなかった。
*****
「浅川さん、お疲れ様でしたー!」
閉店作業が終わり、私服に着替えたバイトの子は元気よく帰って行った。
店長に施錠を任せられた私は、全員が帰るのを待たなくてはならない。
店長が居ない時にこういった責任のある業務を任せられるのも副店長の仕事だ。
私はなるべく早く帰りたいと思っていたが、最後の1人がなかなか帰ろうとしない。
その子はバイトの天羽颯太くん。
大学生で、1年前からこの店で働いてくれている。
「颯太くん?もう遅いし、帰りな?」
私は少し急かすように話しかける。
すると彼はゆっくりと私の方に歩いてきた。
「浅川さん…。実は大事な話があって…。」
もしかしてこの子もバイトを辞めたいと言うつもりなのか?
颯太くんまで辞めてしまったら、本当にこのお店は終わりだ。
「辞めないで!」
私は彼の話を聞く前に、必死に引き止めようとする。
「辞める?ここをですか?辞めませんよ!」
「え…?じゃあ話って何?」
「実は俺、ずっと前から浅川さんのことが好きなんです…。だから付き合ってもらえませんか?」
好き…?付き合う…?
私は突然の告白に頭がついていかない。
颯太くんが私を好きだなんて…。
そんなわけがない!
「あはは!何言ってるの!変な冗談やめてよ!」
「冗談じゃないですよ!」
「えっ」
私は颯太くんの大きな声に思わずびっくりしてしまう。
彼は自分が勇気を出して告白したのに、私が冗談と受け止めたことに怒っているようだった。
「ご、ごめん…」
「大きな声出してすみません…。でも俺、本気なんです」
「だけど私、颯太くんより6歳も歳上だよ?やめた方がいいよ…」
「嫌です…!どうしたら俺の気持ち伝わりますか?どうしたら受け入れてくれますか?」
そう言うと颯太くんは私の腕を引っ張り、自分の胸元に引き寄せた。
そしてそのまま私を強く抱き締め、キスをしてくる。
「ん!ちょ、ちょっと!やっ…」
「離れないで…」
彼はそのままキスを続ける。
そのキスは必死に貪りつくようなキスで決して気持ちいいとは言えない。
むしろ苦しさしか感じなかった。
「ほんとに!やめて!怒るよ!?」
ドンッ
私は思わず力を込めて、颯太くんの体を突き飛ばしてしまった。
ハッとして颯太くんの顔を見ると、彼は今にも泣き出しそうな顔でこちらを見ている。
私はその表情に思わず心が痛んだ。
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