電車で揺れちゃう朝のモウソウ (Page 3)
ああ、濡れてるね、って。
笑いながら囁いて、クリトリスをいじめるように一際強く爪で引っ掻いてくるからビクビク震えてしまって、そのまま私はイってしまう。
立ったままの脚が震えて、全身に駆け抜けていく絶頂に頭が真っ白になってしまう私を彼は抱き止め、それでも残酷な愛撫をやめない。
声を上げそうになる私の唇をキスで無理やり塞いで、イったばかりで敏感になっているクリトリスを何度も何度もこすっていじめて、とうとう立てなくなってしまった私は彼に抱きつき、そのまま身を任せてしまう。
彼の舌にとらえられてるせいで、もうやめてとお願いすることもできない私に、彼が囁く。
入れるよ、と。
私の中に、あの指が。彼のキレイな指が少しずつ、じわじわと私に入ってくる。
自分のものじゃない、誰かの体の一部が入ってくる感覚にただ集中するしかできなくなっている私に、またキスをしてくる彼。
もっと入ってもいいかな?
私は声も出せないから、中に入っている彼の指を締めつけて返事をする。
お願い、もう我慢できない、って。
『次は〇〇駅、〇〇駅』
はっと我に帰った。
やばい、もう降りる駅だわ。
ああもう、朝から何を考えてるの私ったら。
こんなことまで妄想するのはさすがに初めてで、ごくっと喉をならして唾を飲み込んだ。
顔、赤くなってないかな。
気になって頬に触れる。
隣の彼のことなんて見れやしない。気まずすぎるわ。
私って、こんなにいやらしい女だったんだ。
ん?
ふと、隣の彼がポケットを探ってスマートフォンを取り出した。珍しい。彼がスマートフォンをいじっているところは初めて見るな。
ああ、彼女としてるのか。
ドキドキしてた胸が一瞬で冷えた。
そうよね、これだけかっこよくて清潔感もしっかりある男の人に、彼女がいないわけない。
気を取り直して、腕時計に目をやった。
と、視界に入ってくるスマートフォンの画面。
「え?」
隣の彼だった。
画面の中に表示されてるのは、一行だけの文章。
『良かったらあなたにメッセージを送っていいですか』
ぽかんと顔を上げる。
そこには、初めて見る彼の笑顔があった。
Fin.
最高…
きゅんです。ありがとうございます!最高でした。
名梨 さん 2021年5月28日