服従エッチ。尽くし癖で振られた私にピッタリな相手は、憧れの上司でした。
いつも彼に尽くしすぎて振られてしまう玲は、ひょんなことから憧れの上司である藤井と食事に行くことになる。酔ったせいなのか、ポロっと零した言葉で、藤井にスイッチが入ってしまい…!『僕と相性がいいかもね』そう言った藤井の真意とは?全部従いたくなる、服従エッチ。
「ええ!?振られたぁ?」
「ちょっと沙奈!大きい!声大きい!」
会社の同僚である沙奈の大きな声が、ランチで賑わうカフェに響く。
私は慌てて口に人差し指をあて、沙奈をおさえた。
「…はぁ、ビックリした。なんでよ?」
「なんか『何でもしてくれるからつまらない』んだって」
社会人になってから付き合った彼。
もうすぐ1年というタイミングで、突然のお別れである。
「まーた世話焼きすぎたんでしょ」
「うぅ、そんなつもりは無かったんだけどな…」
「玲は尽くしすぎなのよ」
呆れるように見つめられ、私は口を尖らせた。
多分私は、根っからの下っ端なのだ。
何か頼まれたら、喜んでやる。
さらにそれが好きな人のためとなれば、なおさらだ。
しかしどうやらまた、やりすぎたらしい。
(個人的には、いつも楽しく動いてるし、無理もしてないんだけど…)
「水野は色々気が回るからね」
突然後ろから低い声が聞こえて、慌てて振り返る。
「あ!藤井主任!」
嬉しそうに笑う沙奈。
藤井主任は、私たちの上司だ。
7つほど年上だが、とにかく爽やかでかっこいい。
柔らかい物言いと甘いマスクで、言うまでもなく女性人気が高い。
私も密かに憧れている、完璧とも思える男性だった。
そんな主任に聞かれてしまうとは…恥ずかしすぎて、私は縮こまった。
「主任も何か言ってあげてくださいよ」
「玲ったら、いつも尽くしすぎて振られるんです」
「やだっ、言わないでよ〜沙奈っ」
藤井主任は、私たちのやり取りを穏やかな表情で見ている。
しかし何を思ったのか、突然私に顔を寄せて言ったのだ。
「水野さんは、僕と相性がいいかもね」
*****
(なんでこんなことに…)
その日の仕事後、私はなぜか藤井主任の車に乗っていた。
主任の言葉にテンションが上がった沙奈が『是非とも玲とご飯を!』とゴリ押ししたのだ。
「沙奈がすみません…」
頭を下げ、助手席で小さくなる私に、藤井主任は笑う。
「僕が水野さんとご飯行きたかったんだから、いいんだよ」
サラッとそんなことを言われ、私の顔面はわかりやすく熱くなった。
何や
今回は標準語かいな
社内恋愛は あかん
燃え上がっている時はええけど
冷めたら最悪やで
知らんけど
杏子 さん 2025年6月11日