もう一度、好きになってもいい?
年の差と未来への不安から別れた元彼と、偶然の再会。止まっていた時間が、身体の熱とともに一気に溶け出す——切ない記憶と快感に翻弄されながら、それでも惹かれ合う二人。過去を断ち切れず、心も体も求めてしまう一夜に、読者自身もきっと胸が締め付けられるはずです。
あの日、彼と別れたときは、もう二度と会わないと決めていた。
私が33歳、彼はまだ21。
学生と社会人、先の見えない年の差恋愛に疲れ果てて、終わりを告げたのは私のほうだった。
「いつか、あなたはちゃんと恋愛をする人になる。そのときのために、私を忘れてね」
泣きながら言ったあの言葉は、彼の未来を想った、唯一の優しさのつもりだった。
——なのに。
「……七海さん?」
その声を聞いた瞬間、心臓が痛むほど跳ねた。
地下鉄の改札を出たところ。濡れた髪を掻き上げて、彼は立っていた。
変わったようで変わっていない。少し背が伸びて、髪が短くなって、スーツが似合うようになって…。
けれど、あの頃と同じ、まっすぐな瞳で私を見ていた。
「……悠真……」
「やっぱり七海さんだったんだ。会えて、嬉しいです」
雨がしとしと降る夜。駅前のカフェにも入らず、立ち話だけで別れるには——彼の目が、熱すぎた。
「よかったら……少しだけ、お茶でも」
気づけば、誘っていたのは私のほうだった。
*****
「変わらないですね。七海さん、相変わらず綺麗です」
「そう? もうおばさんよ」
「そんなことない。俺、……ずっと好きでした」
女性には
その気になったら
年齢差など
関係ありませんよ
そのときが同じ大切な時だと思います
大切な時間です
真中 さん 2025年6月1日