幼馴染みと紡ぐ第一歩

・作

小さい頃から両親同士が仲のいい隣の家によく預けられていた。歳が離れているせいか、そこの家のお兄ちゃんによくかわいがってもらっていた。ある日、自分の中でお兄ちゃんのことが好きだと決定的になる出来事が起きる。それは、お兄ちゃんが結婚前提に付き合っている恋人がいると聞かされたことだった。

私には年の離れた幼馴染みがいる。確か9歳近く離れている。
小さい頃は、両親が忙しくて、親同士が仲のいい隣の家に預けられることがたびたびあった。そこの家のお兄ちゃんだ。

歳が離れているせいか、よくかわいがってくれて、勉強もわからなければ、すぐにお兄ちゃんに教えにもらいに行っていたし、遊びにも行っていた。

けど、お兄ちゃんのことが好きだと決定的になった出来事があった。それは私が14歳、思春期真っ盛りの時に、お兄ちゃんと綺麗な女の人がお兄ちゃんの家に入って行くのを見た時だった。

なんで女の人と、と思い翌朝お兄ちゃんに聞いた。

「お兄ちゃん、昨日の綺麗な女の人は誰」

「ああ、結婚を前提に付き合っている人だよ」

そう言われ、私は泣き始めてしまった。それを見たお兄ちゃんはびっくりし、お母さんやお兄ちゃんのお母さんまで外に出て来てしまった。

私は涙を止めたくても止められず、お母さんに多感な時期だからとその日は学校を休まされ、お兄ちゃんの方は、お兄ちゃんのお母さんから手やら足やら出されながら、私を泣かせた事を強く注意されていた。

1番理不尽な目に遭っていたのはお兄ちゃんだっただろう。
これが、お兄ちゃんを好きだったと気づいた事の顛末だった。

*****

私はあれから大学生となり、成人した。
お兄ちゃんの結婚前提の話はお兄ちゃんのお母さんがなぜか大反対し、お兄ちゃんもあれから付き合っていくうちに彼女との性格の不一致が理由で結婚はなくなった。

私は今でもお兄ちゃんが好き。
友達の恋人はみんな同い年の子が多いし、もっと年下のアイドルにキャーキャー言っているけど、私にはお兄ちゃんが1番。

*****

「お兄ちゃん、あの人と付き合っているのかな」

大学の帰りに、お気に入りのお店のピンキーリングを買いに行く時に、お兄ちゃんとみたことのない女性がそのお店に入るところを目撃した。仲がよさそうにも見えたけど、お兄ちゃんが女の人に引きずられている感じがした。

ボーとお兄ちゃんたちが出てくるのを待っていると、笑顔の2人がお店から出て来た。
やっぱり付き合っているのかなと思いつつ、お目当てのピンキーリングを買おうとしたが売り切れだった。

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