セフレと最後の夜 (Page 4)
「レスになったらまた連絡してよ。いつでも待ってるから」
「するわけないでしょ」
きっちりと服に身を包み、寧々子は扉の前で悪態をつく。
挨拶は終わったとでも言いたげにさっさと歩みを進めた。
背中の方からパタンと扉が閉まる音がする。
そこでようやく寧々子は息を吐いた。
これでこの関係は終わり。
後腐れなく、お互いお遊びの関係。
けれど、途中見せた海斗の悲しそうな顔が忘れられない。
どうしてあんな顔するのか。
お互い都合のいい相手ではなかったのか。
ぐるぐると疑問が脳裏を掠めては消える。
忘れなければいけないのに忘れられない。
寧々子は海斗の連絡先をブロックするべく指を動かす。
しかし、ボタンひとつで切れるはずなのに、それができない。
寧々子はしばらく画面を見つめたあと、何もできぬまま画面を閉じたのだった。
Fin.
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