愛し合って、ぬくもりを。 (Page 3)
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身なりを整えて扉が開くのを待ちながら、私はふと疑問をぶつけた。
『もし、ここにいたのが私じゃなくても…同じことをしてましたか?』
「は?何が?」
『ただシたい気分だったのかなって…』
「全部言葉にしないと分かんないかな」
そう言って伸ばされた市原さんの腕が、私の体をギュッと抱き寄せた。
「好きだから抱いた」
耳の奥に入り込む甘い声。
『私も…好きです』
「知ってる。君ってわかりやすいから」
そう言って市原さんはケータイで外部の人に連絡を入れて倉庫を開けてもらうように手配した。
「最初からこうすればよかったんだよ。電話しなかったのは、奈々と二人になるためにわざと」
イタズラっぽい笑みを浮かべて見つめられて。
神様が私にくれた、好きな人と結ばれるためのささやかな愛の時間。
Fin.
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