愛し合って、ぬくもりを。
会社の倉庫の扉が故障して閉じ込められてしまい…居合わせたのは密かに想いを寄せるイケメン上司。肌寒さを感じていたら、「二人であったまらない?」と突然抱きしめられて…。キスだけで溢れ出して止まらない淫らな蜜。会社で秘密の愛の情事。
『…え?』
ボタンを押しても反応がない。
会社の所有する倉庫で備品整理をしていたのだけれど、何度ボタンを押しても扉が開く気配がないのだ。
「どうした?」
『扉が開かなくなってしまって…』
「そうなんだ。閉じ込められた感じかな?」
『みたいですね…どうしよう…』
「誰かすぐに気付いて開けてくれるでしょ」
同じく倉庫に閉じ込められた上司の市原さん。
焦る私とは対照的に、顔色1つ変えないで落ち着いた様子だ。
薄暗い倉庫には暖房器具がついていなくて…時間と共に少し肌寒さを感じた。
「これ着ときな」
自分の着ていたトレンチコートを脱いで後ろから肩にかけてくれる。
『でも、市原さんが風邪引いちゃいます』
「俺ってそんなに病弱に見える?」
『いえ、そういうわけでは!ありがとうございます』
市原さんは若くしてエリート、それでいて持ち合わせている甘く整ったルックス。
不謹慎かもしれないけれど、市原さんのさりげない優しさに心臓が高鳴った。
後ろに立つ市原さんをちらりと見ると、ゆっくりと交わる視線。
「どうした?」
『あ、いえ、何でもないです』
「なんか寒くなってきたかも」
『じゃあこれ、お返しします』
借りていたコートを返そうとしたら、
「手っ取り早く、二人であったまらない?」
そう言って市原さんはゆっくり私へと歩み寄り、二人の距離が無くなっていく。
右手をそっと私の頬に添えてきた。
『あの…』
「人と人が抱き合うのが一番あったまるらしいよ?知ってた?」
鼻先が触れそうな程まで顔を近づけてきて市原さんが私の耳元で囁いた。
「嫌なら拒んで」
突然優しく抱きしめられ、自分の顔に熱が帯びていくのを感じる。
聞こえてしまいそうなほどにうるさく高鳴る鼓動。
市原さんは上司で、かっこよくて、憧れで…。
私の、好きな人。
『嫌…じゃないです』
私がそっと瞼を閉じると、唇に感じる柔らかな感覚。
隙間から侵入してきた舌が器用に私の舌を絡め取りながら口内を犯していく。
『ん…んん…』
深い深いキス。
互いに唾液を交換しあうような。
熱くて蕩けるようなキスに、理性というものが次第に薄れていった。
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