裏切りのクリスマスイヴが思わぬことになりました (Page 3)
電車で二駅の所で降り、10分ぐらい歩くと少し古いが、レンガ調の可愛いアパートが見えた。
そこの2階の一番奥が中田君の部屋だ。
1DKの部屋らしく、全ての家具が一所に集結している。
男の人の部屋らしく、ブラウン系でまとめられた部屋はよけいなものが置かれていなくて、すごくスッキリしていた。
「なんでクリスマスイヴに中田君の部屋でクリスマスパーティーなのよ…しかも2人で…」
「仕方ないだろ、カラオケもボウリングも居酒屋も一杯なんだから。それに、ケーキ持ってたら入れないし」
「こんなケーキなんて捨てればいいよ…」
そう言って、私がゴミ箱の蓋を開けた。
「この罰当たりめ!もったいないって言葉を知らないのかよ!」
「…知らない」
荒ぶる心を抱えた今の私にとって、ケーキがもったいないとかどうでもいいし、なんならプレゼントはハサミで八つ裂きにしてしまいたい…。
「はいはい、最低な奴のことは一旦忘れて飲もうぜ!!」
私の危険な思考を読んだのか、中田君はキッチンから私を追い出すと冷蔵庫をガサゴソさせて缶ビールを取り出した。
*****
「あーんな男!こっちから願い下げだよ!!…指輪を選んでたくせに!」
グイッと一気にビールを煽った私の前には、空き缶が既に5本。
「え?結婚する予定だったの?」
「指輪を見てたなら~、普通プロポーズでしょ!?」
そうか?と首をかしげる中田君を恨めしく見ると、私は携帯を取り出して彼が見ていたジュエリーショップのサイトを開いた。
そして、華奢で可愛らしいハートのダイヤモンドが乗っかった指輪の画像を中田君の鼻先に突き付ける。
本当なら、今頃この指輪が私の左薬指に…。
ガックリと肩を落とす私の手から携帯を取った中田君は、しばらく指輪の画像を眺めていた。
「ふーん、でもこれ真央には似合わない気がするけど」
こいつ…。
「なんかブリブリし過ぎっていうか、真央ならもっとシンプルなデザインが似合いそうだぜ」
言われてみれば、ピンクゴールドにハートは私の趣味ではない。
ということはこの指輪は…私のために選んでいたわけじゃなかったのだ…。
怒りが落胆と悲しみに変わる。
そして、もうどうでもいいや!と思った私は、持参した紙袋を持ってトイレへと向かった。
「真央?どうした~?腹壊したか~?」
リビングからデリカシーのない言葉が聞こえてくる。
ネタバレ含みます。
午前0時すぎても元カレから連絡ないって言ってるのに行為後に時計が0時になってるの時空の合間にいます??😅
ほ さん 2024年3月8日