裏切りのクリスマスイヴが思わぬことになりました
6年間付き合った彼氏にプロポーズされると思っていた真央。心躍らせてクリスマスイヴを迎えるが、あっさりと捨てられてしまった。そんな彼女に声を掛けて一緒にクリスマスパーティーをした同期の慎二は実はずっと真央のことが好きで…。
「はい、こちらのペンは28日に納品可能です。かしこまりました、では明日、中田の方からお電話差し上げます」
左耳と頬で電話を挟みつつ、パソコンから同期の中田君へメッセージを送る。
順調に売れてるなぁと電話を切り終えた私は、手元に置かれたサンプルのボールペンを手に取り眺めた。
パステルカラーにデフォルメ調にされた可愛い辰が、握った時にちょこんと親指の間から頭が出るように計算されている。
次の干支である辰の絵柄がプリントされたこのボールペンは、半年以上かけて作った渾身の新商品。
お客様から届いたメッセージに『辰年をイメージしたペンが欲しいです!辰はあまり可愛くない絵柄が多いので、出来たら可愛い感じのものがいいなと思います!』
という内容を見た課長の心に火を点け、やってみようじゃないかということになったのだ。
私、神谷真央は大学を卒業後、大好きな文房具メーカーに就職し商品開発や営業を行う部署に配属された。
毎日大好きな文房具に囲まれ、入社して4年目にしてついに、商品開発にも直接携われることになったのだ…!
そして、携わった文房具が12月28日に店に並ぶことになり、私は各店舗との連絡に追われていた。
「真央ー、メッセージ見たから!俺、先に帰るわ。お疲れ!」
柔らかなパーマのかかったチョコレートブラウンの髪が、パソコンの上からひょっこりと現れる。
彼は同期の中田慎二君、身長が186㎝にほどよく締まった身体。
…もちろん身体を直接見たわけではなく、半袖だった時に上腕二頭筋が素晴らしかったのを覚えているだけ。
「了解~!お疲れ~!」
うーんとイスにもたれて背伸びをした私は、コートにマフラー姿の中田君を羨ましく思いながら時計をチラ見する。
時刻は18時。ちなみに今日はクリスマスイヴだ。
私も早く仕事を終わらせて帰りたい!だって今日は人生の一大イベントになる日で、そのために美容室に行ってネイルにも行って、新しいワンピースも買った。
そう…今日は6年間付き合っている彼氏からプロポーズされる…予定なのだ!!
予定…っていうのは、先週彼氏が女性憧れのジュエリーショップをネットで見ているのを、こっそり後ろから見ちゃったから。
しかも、指輪のページを熱心に見ていたし、これはもう完全にプロポーズでしょ!ってなわけで、今日の私はいつもよりオシャレをして出社している。
手を振りオフィスから出て行った中田君を見送った私は、カバンから携帯を取り出して彼氏にメールを送った。
ネタバレ含みます。
午前0時すぎても元カレから連絡ないって言ってるのに行為後に時計が0時になってるの時空の合間にいます??😅
ほ さん 2024年3月8日