暗闇の密室で付いた火が消えなくて (Page 2)
きゅっと閉じていた唇を先輩の舌がこじ開け、逃げ惑う舌を絡め取られる。何か言う間もないぐらい離れてもまたすぐ塞がれ、いつもふんわり香っていたコロンが強く香った。
「んんっ、…はあっ、先輩も、立ってられな…」
「これ以上はまずいな…」
そういって離れた先輩は何も言わない。私も何も言わなかった。さっきまで震えるくらい寒かったのに、今は体が熱くてたまらない。私はあのまま流されてもよかったのに。
*****
「大丈夫ですか?すぐ動くんで」
それから10分もしないうちに業者の人が来て、エレベータの中から助けられた。それを考えるとあそこで止まったのは正解だったと思う。エレベータの中ほどではないけど、少しひんやりする階段を下りていく。
「止まるとか驚いたよ。すぐ助けが来てよかったな」
「そうですね、びっくりしました」
なんとなく一緒に駅までの道を歩く。先輩の顔が見れない。聞いた方がいいんだろうか、抱きしめた理由とかキスした理由とか。なんだかどれも野暮な気がして聞けなかったし、つり橋効果で変にドキドキしてしまったのかもしれない。それまで他愛ない話をしていたのに、自然とラブホの前で足が止まる。
「どうする?」
「せ、先輩がいいなら、断る理由はありませんけど…」
先輩に手を引かれて自動ドアをくぐり、適当な部屋のボタンを押した。
またエレベーターだ。キスした時が頭をよぎり、体の内側でくすぶっていた熱が温度を上げる。あのまま何時間も助けが来なかったらどうなっていたんだろう。そんな考えが頭をかすめる。重たい金属のドアを開けて、すぐキスをされ後ろで大きな音と共にドアが閉まり鍵のかかる音がした。
「先輩、ちょっと、待って。シャワーとか…」
「悪い、今ちょっと待てそうにない」
そういわれてもつれ込むようにベッドに倒れこむ。オレンジ色の電灯があまりにも明るくて眩しいぐらいで、キスの合間に手探りで少し明度を落とした。そうこうしている間にジャケットは適当に放られて、先輩が乱雑にネクタイをほどく。ありきたりだろうか、そんな姿にドキッとするのは。私もシャツのボタンを少しづつ開けていく。
「さっきまで冷たかったのに、今はすごく熱い」
「んんぅっ」
キャミソールの裾から手を入れられ、体のラインをなぞられただけで微弱な快感が肌を撫でる。キャミソールを脱ぐとあらわになる下着に先輩が息を飲む音が聞こえた。そっと、鎖骨のくぼみに唇が下りた。
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